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護衛任務4

「ん?」

 ヒヅキはしんとしている皆の様子に、不思議そうに首を傾げると、何事かと全員の顔をサッと見回す。

 それで皆が唖然とした表情になっていることに気がつくも、何故そうなっているのかの答えには行き着けずに、やはり不思議そうに首を傾げるしかなかった。

「ぷっ!あっははははは!!」

 そんなヒヅキのれた反応に、堪らずシラユリが噴き出した。

 ヒヅキはそんなシラユリの方を向くと、何故笑っているのかを観察するような目を向ける。

「ははは!いやー笑かしてくれるねー。やるじゃないかヒヅッキー!」

 シラユリは一頻ひとしきり笑うと、満足したのか目の端に浮かんだ涙の粒を拭いながら、ヒヅキに声を掛けた。

「私、何かしましたか?」

 未だに口の端で笑うシラユリに、ヒヅキは心底訳が分からないという表情をみせる。

「いや、あれだけのことをしといて、『何かしましたか?』じゃないよ!あはは、お腹が!お腹がーあはは!」

 笑いが再燃したシラユリは、また腹を抱えて笑いだす。

 そんなシラユリに困った表情を向けたヒヅキは、周囲の空気の質が微妙に変わったことに気づき怪訝な表情になった。

 そんなヒヅキに向けて、シラユリの笑いで我を取り戻したロングが、呆れた目をシラユリに向けながら口を開いた。

「まぁ、コレは置いておくとしてだ。君が行ったスキアの瞬殺というだけで我らを驚かすには十分過ぎるというのに、それも三体連続だ。流石に驚きすぎて訳が分からなかったぞ」

 呆れとも感心ともつかない息を吐いて、ロングは話を続ける。

「それを君はさも当然という態度で述べるんだ、コレの態度がおかしいのもそれのせい……でもないか……まぁ我らが驚愕から呆れに変わったのはその辺りが原因だよ」

「はぁ、そうなんですか」

 いまいち理解してないヒヅキの頷きに、ロングは苦笑を漏らす。

 そんな表情が妙に似合っているなと、ヒヅキは場違いな感想を抱きつつも、ロングの言葉を内でしっかり咀嚼する。

(やっぱりそんなものなんだろうか)

 スキアは強い。それこそ冒険者でなければ対抗できないほどに。それは知識としては持っていたし、最近の経験からそうなのかも程度には思っているのだが、新人じゃないちゃんとした冒険者に会うこと自体久しぶりの出来事で、その冒険者がスキアとどころか戦闘しているところ自体を見たのも初めてなのだ。ヒヅキの中の冒険者像は、自分と同程度ぐらいならばこなせるというものだっただけに、ロングの言葉には純粋な驚きがあった。

 そんなヒヅキの内心に気づいてか、ロングはどこか申し訳なさそうに肩をすくめてみせたのだった。

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