表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
979/1509

テトラ77

 その光だが、ヒヅキが調べてみたところ剣が発しているただの強烈な光のようで、魔力の流れを調べてみてもよく分からなかった。なので、その光の元である剣の方を調べてみる。

 剣は仮面から魔力を吸収しながらも、周囲の魔力も取り込んでいるようだ。

 そうしながら、なにやら複雑そうな魔法を練っているようで、剣の中には密度の濃い魔力が渦巻いているのが感じられた。その密度は、ヒヅキが行使する光球よりも圧倒的に上だろう。

 その事実に、ヒヅキは剣に組み込まれている魔法で以ってその濃い魔力を完璧に制御しているのだろうかと興味を抱く。

 ヒヅキが行使する魔法はどれも魔力密度がとんでもなく濃く、特に光球の場合は弾として使用する際にかなり密度を高める必要があった。

 そういう事情もあり、その濃い密度を制御する難しさというのをヒヅキはよく理解していた。なので、それを人の手から離れた場所、それも誰もが使えるような魔法道具として行っているという事に心底驚愕と感嘆を覚える。それこそ畏怖すら覚えそうなほどだ。

 そんな自身の光球よりも上の魔力密度を制御する魔法。いくら魔法の行使が半減してしまうとはいえ、興味を抱かない訳がない。もしかしたらその魔法を併用すれば、魔力制御の苦労も軽減されるかもしれないのだから。

 そう思い、ヒヅキは剣に意識をかなり集中させる。周囲は未だに光の眩しさにやられているようなので、少し警戒する程度で十分だろう。

 意識を集中させて調べた剣は、内部が嵐の中のように魔力の流れが滅茶苦茶に乱れており、詳細が分からない。それでも外に漏れるようなことがないので、そんな状態でもしっかりと制御出来ていると推測出来た。

 どうにか魔法の構成でも、いや輪郭だけでもいいから解らないものかと、竜巻のように吹き荒れる魔力の嵐の中へと意識を集中せる。

 そうして意識を絞って集中させていると、微かにではあるが、魔力の流れを見つける。それは魔力回路の中を魔力が進んでいるような、規則正しい魔力の流れ。

 濃密な魔力が吹き荒れている中でどうやって繊細な魔力回路を維持しているのかと思うが、今はそれよりも、行使しようとしている魔法の解析の方が先だろう。

 そう思い直して、規則正しく通っている魔力の方に感覚を向けたヒヅキだが、どうも周囲に吹き荒れる嵐と比べて魔力濃度が薄いからか、とぎれとぎれにしか分からない。

 途中で完全に感じない部分もあり、頭の中に思い描く陣はかなり不格好で、結局全体の半分も解らなかった。

 かといって、嵐が止んだ後に調べたところで、ヒヅキの能力では外からは解らない。現在ヒヅキが曲がりなりにも外から内部の魔力の流れが解るのは、それだけ流れている魔力の量と密度が高いからという事になる。なので、再度同じように調べたところで起こる現象は同じ。

 魔法を起動させないで調べるには魔力回路を順に辿っていかなければならないが、感覚としてはかなり奥まった部分にあるようで、少し前に女性と交わした会話を基に考えれば、それはかなり複雑な魔力回路の先に在ると予想出来た。

 それを思い出し、ヒヅキは提供したものだし流石にそんなに調べている時間は無いなと思い、どうにかして今解らないだろうかと更に意識を集中させていく。

 そうしてヒヅキがどうにか組み込まれている魔法が解明出来ないかと光っている剣を調べていると、突然剣の内側に吹き荒れていた魔力の嵐が、何処かから漏出しているような流れに変わる。

 それに気づいたヒヅキは、意識を陣からそちらに向けて魔力の流れを辿っていく。

 漏出しているといっても流入している魔力量が相当なものだからか、減っているといった感じはしない。ただそれでもやはり流れは変わっているようで、流れを追った事で無秩序なまでに吹き荒れていた魔力が、ある程度方向性を持って流れ始めているのが解った。

 その流れを辿って出口を探るも、魔力量が多いのでそう簡単な話ではない。ぐねぐねぐるぐると絡まるように複雑に吹き荒れる魔力の流れの途中からでは、どちらが出口への流れで、どちらが入り口からの流れか判別も難しいのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ