表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
978/1509

テトラ76

 目の奥にまで刺さるような強烈な光が世界を包みこむ中、ヒヅキは目を閉じているので都合がいいかと思い、せっかくなので周囲を気にせず集中していく。

 魔力の流れを頭の中に描き、そこに何があるのかを把握する。それは魔力を感覚的に掴めるだけではなく、そうして得た情報をしっかりと頭で処理出来てこその方法だが、ヒヅキは問題なくそれを行う。

 ヒヅキは感覚的な部分が強いとはいえ、頭の中に絵を描く程度であればなんとか出来た。それを他人にも分かるように説明したり、実際に絵に描いたりは出来ないのだが。

 とにかく、そうして周辺の情報を脳内で処理していく。把握する範囲は女性までで十分なので、そこまで広くなくていいとはいえ、宿屋で借りている部屋ぐらいには範囲を広げる必要がありそうだった。

 しかし、周辺を満遍なく把握する必要もないので、把握する範囲を絵に描いたのであれば、一方向だけに大きく膨れたような歪な円になっていた事だろう。

 女性の様子を重点的に調べたヒヅキは、脳内で女性の状態をある程度把握する。

 ヒヅキが魔力の流れを調べて分かった事は、まず女性は仮面に手を掛けたまま動いていないらしい。

 女性の頭上に浮かぶ剣は、未だに目が眩む強い光を放ち続けている。魔力の流れを調べた事で分かったが、どうもあの剣は周囲の魔力を吸収しているらしい。それだけではなく、仮面に手を掛けている女性からも魔力を吸収している。より正確には、女性が手を掛けている仮面からだろうか。

 女性が仮面の魔法を起動すると剣の光が一気に強くなったのはそういう事が理由のようだ。現在も仮面から剣へと魔力が流れていっている。それも相当な量。

(どれだけの魔力を内包しているのか)

 その様子に、ヒヅキは女性の内包している魔力量に驚愕する。

 外からでは分からないが、仮面に注がれている魔力量は膨大で、それを継続して注ぎ続けている女性は、魔力の流れで調べた限り問題なさそうであった。

 同じ事をヒヅキがした場合、おそらく数分が限度であろう。であれば、1度試した時に使用した魔力量では到底足りない訳だと、内心で苦笑する。それと共に、あの時はただ仮面に少量魔力を通しただけではあったが、もしかしたら成功させるには剣や魔鉱石も必要だったのだろうかと考えた。

(……あの時の女性の感じから推察するに、おそらく仮面だけでも一応成功はするのだろう。今の方が成功率が高いというだけで)

 それでも、とヒヅキは思う。

 なんだかんだで女性は特別な存在で、膨大な魔力量を消耗しても問題ないほどの魔力量を有しているのだろう。それは理解したが、ではそれ以前の巫女達はどうしていたのだろうか。ヒヅキはそれが気になった。

 ヒヅキは魔族についてそれほど詳しくは無いが、それでも周囲に居る魔族を調べた限り、そこまで膨大な魔力量を内包していそうな魔族は居ない。無論、外から完全には分からないので、見落としているだけかもしれないが。

 それでもそいった相手は、何となくただ者ではないと分かるものだ。女性も魔族はヒヅキよりは魔力量が多いぐらいだと言っていたので、女性ぐらいに出鱈目な魔力量を有している魔族が居る可能性はかなり低いだろう。

 そんな可能性だというのに、丁度良く神事をする時に出現しているとは考えにくい。1度や2度ならまだしも、この神事は何度も行われている伝統行事であるようだし、以前は定期的に行っていたらしいので、出現したから神事を執り行うという訳でもなさそうであった。

 なのでヒヅキは気になったのだが、その疑問が浮かんだことで集中が少し緩んだのか周囲の声が耳に届く。

 その声には、先程の雷鳴のような音や鳴動のような振動の時には無かった戸惑いや驚愕の声が混ざっていた。それを聞いて、ヒヅキはこれが普通ではないという事を把握する。

 とはいえ、だ。事前の音や振動が普通だと受け入れられるような神事である。何処から何処までがおかしいのかはヒヅキには分からなかった。ただし周囲のどよめきから、強烈な光が普通ではないという事だけは分かったが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ