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テトラ65

 過去視の時間の区分というものを、ヒヅキはまだ理解出来ていない。現在ヒヅキが過去視で視る事が可能な過去の時間の範囲も正確には解らない。ただ、意外と昔の事まで視る事が出来るのは理解している。ただし、調べ物をするには少々足りないぐらいの微妙な時間。

 とはいえ、ヒヅキにとってはその辺りはどうでもいいので、然して重要ではない。仮に過去視で視る事が出来るのが1時間前までであろうとも、10年前までであろうとも、正直どうだっていいのだから。重要なのはその期間を知ること。

 過去視の制御や魔力効率の向上。そういった部分はここまでの修練である程度は出来るようになっているので、ヒヅキはそろそろ視た幻影の期間が大体で良いので把握出来ないかとそちらに集中していく。

 結構な時間が経っても外から聞こえてくる雨音はほぼ一定のままなので、雨はまだ止まないのだろう。とうに朝は過ぎているというのに長雨である。それどころか、そろそろ昼も終わるだろう。

 ヒヅキは外の時間など意識に無いが、時折魔力水を飲む時に雨音を聞いていた。

 結局、雨が止んだのはその日の夜。それに気がついたヒヅキも、その頃に過去視の修練を終わらせた。

 成果としては特に無し。進展は多分したのだろうが、実感は出来なかったのでよく解らない。

 今日は舞台設営は延期したのだろうなと思いながら、ヒヅキは少しゆっくりした後に眠りについた。



 翌日も似たような時間に目を覚ましたヒヅキ。窓から差し込む光は昨日よりも明るく、今日は晴れているのが窺える。

 ヒヅキは少し考え、時間を置いたら舞台設営の様子でも見に行こうかなと考える。結局昨日は舞台設営をしなかったのかの確認も兼ねて。

 魔力水をゆっくりと飲みながら時が経つのを待つ。昨日1日集中したのが思いの外響いているのか、いまいち頭がはっきりとしない。

(鈍ったのかな?)

 村に来て然程日数は経っていないのだが、今まで以上にのんびりした時間が続いていたからか、何だか感覚までのんびりしてしまっているような気がしてくる。

 手を閉じたり開いたりとしながら、うーんと思案するヒヅキ。それだけではどうか分からないが、ここ数日を振り返ってみても、怠けていたと思うのは確か。

(今日も狩りにでも出てみるべきか……)

 舞台設営の見学を終えた後の事を思い、そうすることにする。流石にまだ何も終わってはいないというのに、だらけてしまうのは早いだろう。

「……よし!」

 手を握り締めて今日の予定を決めると、残っていた魔力水を一気に飲み干す。

 その後に片付けを済ませると、持つ物を持って部屋を出る。まず目指すは舞台設営をしている場所。村長に会えたら今日も外に出る事を伝えておこうと思うが、別に義務はないので無理ならわざわざ報告はしなくてもいいだろう。それは女性も同じ事だが、女性の場合はすぐ見つかるだろうからその心配は無駄に終わりそうだ。

 遅いながらもまだ朝と呼べる時間に宿屋を出る。天気は晴れ。雲の少ないいい天気だ。

 ヒヅキは真っすぐ舞台設営の現場を目指す。村は狭いので、村全体の地形は大体覚えている。

 そう掛からずに到着すると、既に舞台設営は始まっているようで、舞台設営に従事している村人たちが忙しなく移動している。今までよりも忙しない感じなのは、昨日の分も埋めようとしているからだろうか?

 そんな事を思いながら見回すと、直ぐに女性の姿を視認する。とりあえず外に出る事は伝えておくかと思い、ヒヅキは女性に近づく。ついでに昨日の事も聞いておこうかと考えながら。

 途中でヒヅキに気がついた女性も近づいてくるので、合流は直ぐに出来た。

 とりあえず狩りに出るという用件を伝えた後、昨日の作業の様子を尋ねてみた。すると、やはり昨日は雨で作業が出来なかったらしく、中止したらしい。

 それに一部乾かさないといけない個所もあるらしいので、万全を期すために舞台の完成は明後日の予定に延びたとか。

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