表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
949/1509

テトラ47

「まずは今日の予定の確認を」

 そう切り出した女性と、ヒヅキは今日の予定を話し合う。話し合うというよりもほとんど確認作業であったが、とりあえずもう少ししてから村長を訪ねて、短い方の剣と魔鉱石を渡す事。その際に対価として神事の参加を伝える事。神事での神との交信が叶った時に質問出来るが、その権利は要らないとヒヅキは伝えた。

 女性から神に何を尋ねたいかと問われても、水晶の欠片の場所ぐらいしか思い当たらなかったが、それは女性が尋ねる予定らしいので、他に訊きたいことは無かった。己に関する事を尋ねるというのに、わざわざ横から他人が同じ事を訊く必要もないだろう。

 そういった事を1つ1つ確認していき、1日の予定を確認し終える。その頃には大分日も高くなっていたが、まだ朝と呼べる時間だろう。外は相変わらず静かなものだが。

 そろそろ村長を訪ねてもいい頃合いだろうとは思うが、女性はまだ話を終えていないようで、椅子から立ち上がろうとしない。

 ヒヅキも予想していたので、女性の次の話を待つ。もっとも、直ぐに女性は次の話題に移ったのだが。

「今朝、というよりも未明というべきですか。どなたか訪ねてきたのでは?」

 その女性の問いに、ヒヅキはやはり気づいていたのかと思いつつ、シルフィンの来訪については別段隠すような事とは思えなかったので、素直にシルフィンと名乗った観測者の来訪を告げる。

「やはり観測者が来ていましたか。珍しい事もあったものです」

「そうなのですか?」

 観測者というモノを今日初めて聞いたばかりのヒヅキには、それがどれぐらい珍しいのかは分からない。ただ、実際に目にして、そうホイホイと人前に出てこないだろう事は何となく解ったが。

「ええ。そもそも観測者という存在をご存知で?」

 女性の問いに、ヒヅキは「いえ」 と首を横に振る。先程初めて知ったのだ、ヒヅキが知る訳がない。女性もそれが解っていたようで、軽く頷き説明を始める。

「観測者とは、その名の通りに観測する者の事です。ですが、詳しい事は解っていません。あちらから干渉してくる事は稀なので、ただ悠久の時を生きて観測する者としか。もっとも、途轍もない強さを有している事は知られていますが」

 観測者についてというよりも、観測者というモノがよく分からない存在である事を説明した女性に、ヒヅキは思い出したように呟く。

「観て記録して留める存在」

「……それは?」

「私の前に現れた観測者が、観測者について尋ねた時に言っていた言葉です」

 ヒヅキの呟きに反応した女性に、ヒヅキがそう説明すると、女性は僅かに考え「なるほど」 と呟いた。

「確かに観測者とは、正しく観測者だったという事ですね」

「どういう事ですか?」

 何やら一人納得する女性に、ヒヅキはどういう事かと首を傾げて問い掛ける。

「つまり観測者とは、この世の事象を観測して記録し、それをそれと認める存在という事です」

「うん? うーん……中々難しいですね」

 女性の説明でもいまいちよく解っていないヒヅキは、腕を組んで唸るも、いくら考えても漠然とした理解しか出来ていない。

 事象の観測というのは何となく解るし、それを記録するのもまぁ解るのだが、それを認める存在というのがよく解らなかった。それよりも、そんな存在が必要なのかという疑問の方が先に来てしまう。

 しかし、女性は理解したとばかりに頷いているので、何かしら意味はあるのだろう。もっとも、理解したところで意味はなさそうなので、ヒヅキは深く追求する気も起きないのだが。

 観測者については朧げながらに理解したところで、今は話の続きだろう。そうヒヅキが思ったところで、ちょうど女性も話の続きをしようと思ったらしい。納得顔でヒヅキの方を見ると、口を開く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ