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テトラ23

 果実を食べた後は、そのまま体調に変化がないか様子を見る為に休憩する。

 おおよそ半日。その場で夜を明かしたヒヅキだが、特に体調に変化はみられなかった。お腹を下すこともなかったので、問題なしと判断して片付けを行っていく。

 そうして片付けを済ませて出発の準備が整うと、女性を先頭にヒヅキ達は歩みを再開させる。

 ヒヅキは先頭を歩く女性を眺めながら、休憩中の事を思い出す。

 休憩中にヒヅキはどうしても気になったので、女性に果実をどうやって採集したのか尋ねてみたが、普通に手で採取したとしか答えてもらえなかった。

 もう少し詳しく問うてみても、それ以上答えてはくれない。ただ微笑むその顔に答える気はないと判断しはヒヅキは、それ以上問う事を諦めた。

 山自体はそこまで標高が高くないので、直ぐに下山を終える。

 下山を終えるも、やはり景色はそれほど変わらない。ただ、遠くに村らしきものは発見できた。

「あれがその村ですか?」

 遠くに見えるそれを指差しながらヒヅキが問うと、女性は首肯する。

「そうですか」

 女性の頷きを確認したヒヅキは村の方へと視線を向けるも、遠目ではあるが、それでも特に目立った物のない寂しい場所に思えた。

「あの村には何かありますか?」

「何かですか? 見どころのようなモノは無いですね。観光で来る場所でもないですし、特産もありません。貴方であれば興味を惹きそうなものは、前に話した神事ぐらいでしょう」

「なるほど」

「まぁ、それもあまり催されないのですが」

「……そうなのですか?」

 仮面に仕込まれている魔法について外からも見たかったヒヅキは、女性の言葉に苦い声音で問い掛ける。元々直ぐに見られるとは思っていなかったが、それでも今の女性の話し振りから、かなりの期間が必要になりそうだと感じた。

「元々10年毎に催されていたようですが、前回催されたのはもう20年以上前のようです。最近はこの辺りでもスキアの目撃情報があるので、おそらくもう催される事はないでしょう」

「そう、ですか」

 落ち込むようなヒヅキに、女性は微笑んで話を続ける。

「ですが、その仮面を村に売れば、おそらく直ぐにでも祭事が催されると思いますよ」

「そうなのですか?」

「ええ。それだけそれは重要な物ですし、何より状況的にも神託を欲しているでしょうから」

「なるほど」

 女性の説明に、ヒヅキは納得したと頷く。確かに現在はスキアが世界に攻めているような世界だ。それも裏には神が居るような暗黒時代。

 それは託宣も欲しいことだろう。神が裏に居るなど知らないだろうし。まぁもっとも、その神事で得られるという神託は、この騒動を起こしている神からではなく、別の次元の神かららしいが。

「なので、村に到着後はまずその仮面を売ってしまいましょう。神事を取り仕切っているのは村長なので、まずはそこに挨拶がてら売ってしまえばいいですし」

「ふむ。そうなんですね」

「村長とは以前村を訪れた際に顔を合わせていますので、案内ぐらいは出来ますよ」

「お願い出来ますか?」

「勿論です。私も挨拶に伺おうと思っていますから」

 微笑む女性に、ヒヅキは礼を述べる。ヒヅキは魔族自体よく分かってないので、案内が居るのは非常に助かった。

「では、よろしくお願いいたします」

「ええ。と言いましても、僻地の小さな村です。そこまで難しい交渉はないですよ」

 そう言うと、女性は前を向いて歩き出す。村へはまだ距離はあるが、ヒヅキ達の足であればそう掛からずに到着するだろう。

 女性の後をついて行きながら、ヒヅキは魔族というモノについて考える。

 少し前に山に居たはぐれの魔族を参考に考えるのであれば、確かに女性の言う通りに魔力量は多かったと感じた。それでもフォルトゥナの方が明らかに魔力量が多かったので、魔力量でヒヅキが気後れする事はなさそうであった。それぐらいにフォルトゥナの保有している魔力量はおかしかったのだから。

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