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テトラ17

 仮面に嵌っていた大きな魔鉱石について記憶を辿っていたヒヅキは、そういえばと思い出して背嚢の中を探してみる。

 そうして背嚢の中を探してみると、他とは別に仕舞っていた魔鉱石を見つけて取り出す。

 フォルトゥナに渡していたのは、ホーンで採れた魔鉱石の原石を入れた袋だけだったので、元々所持していた魔鉱石に関しては背嚢に仕舞ったままであった。

 取り出した2つの大きな魔鉱石を眺めた後、それを仮面に近づけてみるが、何も起こらない。目の部分に嵌めようかと思ったが、また取れなくなっても困るので、どうしたものかと首を捻る。

 そうしていると、女性が近づいてきて魔鉱石と仮面に視線を向けた後、ヒヅキの方に目を向けて問い掛けた。

「何をしているのですか?」

 女性の問いに、ヒヅキは元々手元の魔鉱石が仮面の目の部分に嵌っていたのだと伝えてから、それが何かしら意味があったのかと思って取り出した事も伝える。

 説明を聞いた女性は、もう1度魔鉱石と仮面に視線を向けた後、ヒヅキに目を戻して小首を傾げた。

「特に何か意味があるようには思えませんが」

 不思議そうに問い掛けられて、ヒヅキはそうなのかと思いつつも、先程の説明不足もあるので、もう少し詳しく聞いてみる事にした。少なくとも、この事について女性が嘘を吐くつもりは微塵も無いようだと判断する。見た感じあまり興味も無さそうだ。

 そうして更に詳しく話を聞いてみると、仮面に魔鉱石を嵌め込むのは本当に意味がなさそうであった。そもそも魔鉱石とは、石が魔力を取り込んだり物だが、解りやすく表現するのであれば、魔力が固体化したような物。それでいて中に魔力を閉じ込めているので、ただ触れただけでは中の魔力を活用出来ない。

 そしてこの仮面だが、一定以上の魔力を両側から流さなければ魔法は起動しないようになっている。魔法の起動に必要な量はそれ程でもないが、それでも左右に魔鉱石を置いたぐらいで起動するようなモノではない。まして魔鉱石は目の部分に嵌っていたので、魔法を起動する為に必要な両側から魔力を流すという事は到底不可能だ。

 つまり、目に魔鉱石を嵌め込んでいたのは無意味な事で、考えられる可能性としては単なる装飾か、別の部分で必要だからではないか。というモノであった。

 そんな説明を女性から聞いたヒヅキは、なるほどと頷き魔鉱石を背嚢に戻す。

「しかし、その魔鉱石だけでも結構な値段にはなりますよ?」

 魔鉱石を背嚢に仕舞ったヒヅキへと女性がそう言うが、ヒヅキは首を左右に振る。魔鉱石は色々と活用できるので、持っている方がいいという判断だった。それにヒヅキは、魔鉱石から所持者の命を1度だけ死から護る事が出来る身代わり人形を作れるし、何よりいつか魔法道具を作ってみたいなと考えているので、魔鉱石は有っても困らない。

 新たに採掘した分の多くはフォルトゥナに預けたままだが、それはしょうがない。必要ならまた採りに行けばいいだろう。

 そういう訳で、魔鉱石に関しては売るつもりはないとヒヅキが女性に伝えると、女性はそうでしたかと納得して頷いた。

「では、仮面をお売りに? 他も売れる物もありますが、仮面が一番高価ですね。この少数残っていた小箱でも宿代ぐらいは問題なく捻出出来そうですが」

 広げていた不用品に視線を向けながら女性が尋ねると、ヒヅキは仮面を軽く掲げてこれを売る事を伝える。

「まぁ、そうですね。その仮面はこの辺りで売るのが最も高値で売れるでしょうから」

 ヒヅキの判断に女性は問題ないと笑みを向けると、ヒヅキは出していた不用品を片付けていく。

 仮面も含めた不用品を全て片付けると、最後に防水布も背嚢に畳んで仕舞い、出発の準備を整える。

 その様子を確認した女性はヒヅキに一言声掛けて、村を目指して歩き出した。その後にヒヅキも続いて歩いていく。

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