表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
899/1509

残響113

「ここはそういった、外の者達には見せられないようなものでも問題なく行う事が出来るように、という目的で創られた場所なのです」

 そうであれば便利なものだ。男の言葉に、ヒヅキはそう感想を内心で零す。

 実際、本当に神にさえ視る事が出来ないのかはヒヅキには分からない。それでも、邪魔者が入ってこられないだけ十分価値はあった。

 それからも幾つか目的を聞いたものの、ヒヅキにとってはあまり有益とは言えなかった。それよりも、創造主の力について男に訊いた時の方が、ヒヅキには得るものがあっただろう。

 その中でも特に、魔砲が光の球を標的へと飛ばすだけではなく、光の球を目的の場所まで瞬間的に移動させらる方法があるというのには、流石のヒヅキも心底驚いたものだ。勿論それを成すには色々と条件はあるが、不可能というほど困難でもないし、魔力消費量も多少増えただけ。試さない理由は無かった。ただし。

(折角の新しい方法だというのに、ここでは迂闊に試せないな)

 魔砲についてなので、いくら周囲が護られていて部屋が頑丈といえども術者まで守られている訳ではないので、高威力の魔砲は迂闊には試せない。

 とはいえ、ヒヅキが試したいのは魔砲の移動方法であって、魔砲の威力ではない。なので、着弾にさえ気をつけておけば危険はないはず。

(とはいえ、誤って壁床天井それに人物。とにかく何かしらに当たってしまったら爆破しかねない。軽い衝撃程度では起爆まではしないだろうが、新しい光球の移動方法だ、移動に失敗する可能性を考えれば、やはりこんな閉所ではなく、もっと開けた場所のほうがいいだろう。しかしその場合、外に残してきた邪魔者達が居る事になる………………うーーむ)

 ヒヅキは失敗した時の可能性と、外で実験した場合にフォルトゥナやウィンディーネに見られる可能性を天秤にかける。後者の場合は、もれなく神にも知られるというおまけ付きだ。

 その2つの可能性を考えたヒヅキだが、結局答えはひとつしかないかと小さく息を吐き出す。当然だが、実験しないという選択肢ははじめから存在していない。

 ヒヅキは小さく息を吐き出した後、男に少し実験してみる事を告げて、二人揃って部屋の端に移動する。

(さて、確か光の輪を手前と離れた場所の2ヵ所設置するんだったな)

 今まで使用してきた魔砲は、弾である光球を、砲身である光の輪を通して撃ち出すというものだった。その際に光の輪の数や間隔などを調節する事で、砲身でも威力の調整を行っていた。

 今回その光の輪を、目の前と数メートル先の2ヵ所に設置する。今までの魔砲では光の輪を何重にも重ねていたが、今回は少々手を加えた単体の光の輪を2つ用意した。勿論今から行う方法でも光の輪を重ねる事は可能だが、今回は威力を求めている訳ではないので、単体の輪っかにしておく。

 その用意した光の輪の片方を目の前に。もう片方を奥に飛ばして設置を済ませる。

(実戦では奥の方へと光の輪を飛ばすのではなく、離れた場所に構築する方がいいらしいが、今はこれでいいだろう)

 どちらの方法でも問題はない。そもそも光の輪はヒヅキにしか見えないのだから、飛ばしたところで気づかれはしないだろう。しかし障害物にはなるので、やはり離れた場所、それも目的の場所に直接構築した方が賢明か。

 光の輪を2ヵ所ともに予定通りの場所に設置したヒヅキは、最小の威力に調節した光の球を現出させる。

(こんなものか)

 現在出来る全力で出力を抑えた光球に目を向けて、ヒヅキは内心で頷く。見た目は以前とほとんど変わらずこぶし大ではあるが、密度が薄い。光量は以前までと同じように調整してはいるが、爆発した際の威力は半分近くまで抑えることが出来た。それでも、当たれば人一人ぐらい余裕で消せるのだが。

 そうして用意した光球を、目の前に設置した光の輪目掛けてゆっくりと放つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ