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残響111

「いえ。ヒヅキ様の適性はどれも非常に高いモノでした」

 不思議そうにしながらも、男はしっかりとヒヅキの質問に答える。

 それを聞いて、ヒヅキは不可解そうに考え込むも、考えたところで分からないから悩んでいるので、ヒヅキは別の知恵を借りる為に男へと簡単に事情を説明して原因が分からないか尋ねてみる。

 ヒヅキの問いに男は難しい表情で考え込んだ後、幾つか質問を重ねる。主にヒヅキの推測についてだが、そこから色々と情報を得た男は、顎に手を置くと目を閉じて熟考していく。

 しばらく男はそのまま考えた後、目を開けて口を開いた。

「何かに阻害されているという可能性が高いかと。それか光属性が優先されているか、でしょうか」

「光属性を優先?」

 阻害は理解出来た。話に聞いただけではあるが、ヒヅキの中には英雄が何人も居るらしいので、その影響なのだろうと。

 しかし、優先となると直ぐには解らない。可能性としてはあの声の主だが、それでも何故光属性だけなのかという疑問も残る。あの声の主であれば、他の属性もかなり使えそうに思えたから。

 やはり分からないとは思ったが、それでも他の視点を得られたので、多少の進展はあっただろう。

「はい。ヒヅキ様は創造主の力を強く継承されております。創造主様は全ての属性を扱えましたが、その中でも特に光属性を得意としていたと記憶しています」

「それで光属性を優先して?」

「おそらくですが」

 ふむ、と男の言葉にヒヅキは思案する。男には色々と質問されたので、訊いたのはこちらだからといくらか情報を開示している。しかしそれでも、自身の中に英雄が複数人入っているかもしれないなどとは話していない。そんなあやふやで危険な情報を開示するつもりはないので当然の事だ。

 しかし、先程男が話した内容を踏まえたうえで自分でも色々と考えてみると、いくつか考えが浮かんでくる。

(光属性が使える事に視点を置くか、他の属性が弱体化している事に視点を置くか。もしくは両方から考えるか)

 その中でも、どの視点を重視して考えるべきかと首を傾げるも、やはり複合的な理由からだろうと思い、時間が掛かっても両方を考慮して考える事にした。

(これの最も重要な場所に居るのは、おそらくあの声の主。そして、昔ここに男を創ったという創造主とやら。そもそも何の目的でここを創ったのかいまいち分からないが、それは後でもう1度男に訊いてみるとして、だ。多分あの声の主は創造主、もしくはその力といった辺りだろう。少なくとも何かしらで関係しているはずだ)

 そう予想を思い浮かべるが、これは予想というよりも半ば確信だろう。であれば、色々と説明もつく。目の前に居る男のようなモノを創造出来る存在である創造主と、治癒や過去視といった魔法を与えられる存在である声の主。そんな規格外の存在がそうそういるとも思えない。居たとしても、それは敵である神ぐらいだろう。ウィンディーネ程度では不可能だ。

 そういった事を含めて思案した後、ヒヅキは男に再度ここの存在について問うてみる事にした。

「それで、実際ここは何なんですか?」

 フォルトゥナでさえ壊せない防御魔法で護られた空間。それだけ厳重に護られていながら、中には男が一人居るだけ。

 消えない蝋燭の火だっておかしい。それは蝋燭の火が消えない事がでは無く、あんな明かりなど男には必要ないだろうから、あの明かりはまるで外から誰かを招くために設置されている様ではないか。

 その辺りは今までの男との会話で何となく察しはついたが、それでもやはりこの空間と男の存在理由がヒヅキには解らなかった。

 何故ならば、予想出来る理由として、明かりは創造主の力を受け継いだ者をここに招待する為。防御魔法はそれまで破壊されない為と、創造主の力を持っているかどうかを選別する為。そこまではいい。ではここは? 男は導くためといってはいたが、先程までの説明程度であれば、石碑にでも刻んでおけばいい話ではないのだろうか。

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