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残響93

 ドワーフにもスキアにも興味が無いヒヅキは、ドワーフ達が持っているという魔法道具には多少なりとも惹かれはしたが、それでもこの階層には用は無いと上層を目指す事にする。

 上層への階段の位置は把握済みなので迷うことはない。あとはスキアとの遭遇は出来れば避けたいがと思いながら、ヒヅキ達はスキアの位置を捕捉しながら階段へと移動していく。

 しかしそんな努力は徒労であったようで、スキアはヒヅキ達に興味が無いようであった。いや、興味が無いというよりは、スキアの方もヒヅキ達との接触を避けていたような動きをしていた。それは今までの経験から考えて、獣のように本能的に上下を悟ったという訳ではないだろうから、単純に別の目的があって、接触すればその目的を達するのに支障が出そうなヒヅキ達を避けたのだろうと推察出来るだろう。

 しかしそんな事はヒヅキ達にとってはどうでもいいので、何事もなく階段に到達出来た事の方が重要だった。

 階段に到着したので、その階段を上る。

 岩盤をくり貫いた岩肌むき出しの場所なのはどこも変わらないが、こちらの階段は、研究機関の建物が在った空間と上層を繋いでいた階段よりも幅が広く、二人で並んで上っても十分余裕があった。

 下からは問題ないだろうが、上から誰かが下りてこないかを警戒しながら階段を上る。上層の様子はしっかりと把握しているので問題ないだろうが、それでも警戒は怠らない。

 それほど長くはない階段を何事もなく上り終えると、周囲に目を向ける。

 階段の先は狭い廊下。二人並んで通れる程度の幅しかなく、高さはヒヅキが歩いてもギリギリ天井に着かないぐらいなので、2メートルはないだろう。

 そんな道を進み、二人は更に上層目指して階段を目指す。

 現在この階層にはスキアは居ない模様。だが、ドワーフは少数居るようで、ヒヅキ達からは離れた場所でこそこそ何かをやっているようだ。回収すべき荷物でも纏めているのだろう。

 特に気にはならなかったので、ヒヅキは気にせず階段を目指す。フォルトゥナも何も言わないので、警戒する必要もないのだろう。

 次の階段までは直ぐに到着する。間に何も障害が無かったので、最短距離で到着出来た。

 そうして次の層、次の層と進んでいく。たまにスキアが徘徊している階層もあったが、相変わらず向こうも避けているようなので遭遇する事はなかった。

 何層も進みながら、これを一気に下りられる昇降機はなるほど便利なものだと、ヒヅキは内心で感心する。下から上がってくるのにも有用だし、更に荷物まで在る場合はこのうえなく便利な物だろう。

 仕組みが分からないので調べてみたいが、今はそれは難しい。少なくとも、ドワーフ達が亡んでスキアを殲滅してからでないと、ゆっくり調べる余裕はない。

 しかし、このままドワーフが亡んだとしたら、スキアは昇降機も破壊してしまうだろう。それは現状でも起きかねないが、この辺りは何とも言えない。ただ、仮に調べられたとして、仕組みも把握したとしても。

(それを何に使う?)

 知識としては重要だろう。知的好奇心も満たされる事だろう。しかし、ヒヅキには必要性がない。何かしらの建物を造る予定はないのだから。

 それでも知的欲求は満たされるだろうから、無意味とは言えない。しかし、その程度でしかないとも言えるので、ヒヅキは少し考え、もしも事が済んでも無事だったら調べてみるかと思うことにする。

 そんな事を考えている内に昇降機に乗った階層にまで戻ってくる。それなりに時間は掛かったが、二人に疲れはない。

 調べてみればスキアが数体徘徊してはいるのが分かる。ドワーフも一応まだ生き残りが居るようだ。

 目的の場所は更に上層なので、この辺りには用事は無い。なので、ヒヅキ達はスキアとドワーフを避けるようにしながら、階段目指して更に奥へと進んでいった。

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