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残響59

 思案しながら林を抜けると、一面に広がる岩場。

 様々な大きさの岩が転がっているが、数メートルほどの高さがある岩が特に目につく。しかし、中には高さが10メートルに届くのではないかと思えるほどに大きな岩も在った。

 岸辺にはあまり大きな石は無かったが、林を抜けただけでえらく違っていた。

 先の方に大きな山が見えるが、あれが鉱山なのだろう。

 ヒヅキは改めてフォルトゥナに近場のスキアの位置と地下街の場所を尋ねる。その間に過去視で周囲を窺ってみると、コズスィ側からやってきていた様々な形の幻影が確認出来た。

(ふむ……ミャニュリュリィリエールまで追ってきた幻影の仲間だろうか?)

 ヒヅキが女性から託された剣を狙っていた、コズスィの関係者であろう組織を思い出し、ヒヅキは視えた幻影がその関係者だろうと予想する。剣を探す為に世界各国を訪れていたのだろう。

 その幻影達は鉱山方面に移動しているが、視える範囲では帰ってきた幻影の姿は無い。

(別の道から移動したのか、スキアにやられたのか)

 世界各国を訪れていたのだとしたら、ここは単なる通り道でしかないかもしれないので、戻ってくる幻影が居ないからといって全滅したとは言い切れない。それでも何となく、ヒヅキはスキアにやられたのだろうなと思った。この辺りも鉱山の方に行けば分かる事だろう。興味は無いのだが。

(地下へ行く前に、地上の様子も確認しておきたいからな)

 もしかしたら地上に魔法道具が落ちているかもしれない。もしもそうであれば、地下を目指す必要性も薄れる。

(極力スキアとは関わらない方向で探索していくかな)

 戦闘になっても負けはしないが、それでも面倒ではあった。戦う為には僅かでも歩みを止めなければならないだろうし、周囲にスキアが居る中で1度でもスキアに見つかれば、周辺のスキアを呼び寄せてしまうことになるだろう。そんな面倒な事は出来れば避けたかった。

(しかし鉱山か……大して興味も湧かないが、一応ドワーフの町だからな。何かあるかもしれないし、交易の街とやらも寄ってみたい)

 スキアが闊歩している現状では、そのどちらも無くなっている事は確実だろう。しかし、瓦礫の中から何も見つからないという訳ではない。可能性は高くないが、有用そうなものが見つかる事もある。

(場所は……感知魔法で探せば分かるか?)

 ヒヅキは記憶を探ってみるも、交易の街が在る事は知っていても、それがどこに在るのかまでは知らなかった。鉱山の町は鉱山付近を探せば見つかるだろう。

(その理屈でいえば、交易の街は国境近くの街道を進めば到着するのだろうか? ふーむ、1度周囲を探ってみるかな)

 過去視の使用を止めたヒヅキは、そのまま感知魔法で周囲を調べてみる。

(うーん………………付近に街道は無いな。いや、こちら側へと延びている道は在るが、あれは軍事用だろうしな)

 岩場を歩きながら、ヒヅキは近くに敷かれている道へと足を向けてみた。

 ヒヅキ達が来たのがコズスィとの国境側なのを考えれば、その道はコズスィが在った土地を奪い合う為の軍隊が通る場所なのだろうと予想出来る。であれば、そんな道の先に交易の街などが在ったとも思えない。利便性もあまりよく無いような気もするし。

 そんな事を考えている内に、岩場を通る道に到着する。それはとても頑丈そうな大きな道で、大勢が一斉に通っても問題なさそうであった。

(おそらく軍事用の道。であれば、この先には砦でも在るのだろう……ドワーフの砦は地上に在るのだろうか?)

 ドワーフは地下に街を築いているので、地上に在るのは外向けの交易の街と、鉱山周辺に在る鉱夫達の町ぐらい。しかしそれもヒヅキの曖昧な記憶でしかないので、確実ではないだろう。

 それにもしも地下に砦を築いているのであれば、地下へと行く手掛かりになるかもしれない。そう考えたヒヅキは、特に予定もないので周囲を警戒しながらも、とりあえず道を進んでみる事にした。

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