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残響57

 何日か前に地下空間を出てドワーフの国を目指して移動すると、少し前に見つけた橋の前に到着する。

 コズスィとドワーフの国の国境線である大河を跨ぐその大きくて立派な橋を眺めながら、ヒヅキ達は休憩を取っていた。

 休憩中にヒヅキは魔法道具の解析を行う。前回の休憩時に一本角の生えた球状の魔法道具の正体までは突き止めたが、まだ完全には解析は終わっていない。

 ヒヅキが調べた限り、その角の生えた球体の魔法道具は、どうやら水を生成する魔法道具だったようだ。

 それだけ聞けば有用そうなのだが、1日に生み出せる水の量は、手のひらにすっぽりと収まる大きさの球体部分1杯分ぐらい。それは大体水を飲む際に使用する容器1杯分といったところ。

 あの地下空間のような水の補給も難しい場所では貴重だろうが、ヒヅキには魔力水を大量に出す水瓶が在るので、不要な品であった。

 それでも貴重な壊れていない魔法道具なので、ヒヅキは確認作業が終わった後は、弄る用の魔法道具として持っておこうと考えている。

 そんな事をしながらしばらく橋の前で休んだ後、特に何も起きなかったので、そろそろ橋を渡ってみるかとヒヅキは立ち上がった。

 橋は以前にスキアが通ったようで、橋に築かれていたドワーフ側の砦は全て粉々に破壊されている。

 遠めにそれを確認した後に、ヒヅキは橋を渡り始めた。

 橋は木と金属で出来ており、中々に頑丈そう。橋脚の部分には石も使われているようで、流れが速い河の上でも悠然と建っている。

 見た目は飾り気のない橋だが、細部まで見れば堅実に造られているのがよく分かった。

 コツコツという木の板を叩く軽い音が響く。どうやら橋の上は、基礎部分の上に木の板を乗せているらしい。厚く幅の在る板を並べて乗せてはいるが、木の板同士の間は僅かに空けてある。水はけでも気にしたのかもしれない。

 敷かれている木の板はもう長いこと経っているのか、すっかり黒っぽい茶色に変色してしまっている。それでも腐っている訳ではないようで、上を歩いても不安は感じなかった。

 最初の砦跡を過ぎて更に進んだ頃には、コズスィ側の対岸はもう見えなくなっていた。反対側の端の方もまだ見えてこない。

 更に進んだところで、2つ目の砦跡に到着する。ここもスキアに無残に破壊されているが、規模が小さいので直ぐに通り過ぎた。

 2つ目の砦跡を過ぎたところで、ドワーフの国側の岸が薄っすらと見えてくる。

 もう少し近づいて観察してみるも、何か生き物が居るようには見えない。フォルトゥナの感知にもドワーフはおろかスキアすら岸辺には引っ掛からなかったようで、平和なものだ。

 そこだけ見れば、現在も街がスキアに襲われている最中だとは思えないが、逆に何も居ないが故に不気味とも言えた。

 しかしヒヅキは気にしないし、ドワーフの国の現状は把握しているので、広いとはいえ橋の上でスキアの襲撃を受ける前にと、少し移動速度を上げて橋の上を移動していく。

 それから少しして、橋を渡り終える。橋の終わりにも砦跡があったが、やはり破壊された後であったので、障害にはならなかった。

 橋を渡りきった事でドワーフの国に入国した事になるが、現在の情勢では特に何かあるという訳でもない。

 とりあえず橋を渡りきったところで休憩を取る。橋を渡るだけで1日ちょっと要した。

 休憩中は魔法道具の調査をするヒヅキ。1つ目の魔法道具は、機能は判ってもまだ完全に調べられた訳ではない。やはり迷路型は単純なだけに調べるのに時間が掛かってしまっている。

 それでももうすぐ終わりそうだと考えたヒヅキは、もう少し休憩する事にした。とはいえ、誰も疲れている者は居ないので、出発は完全にヒヅキ次第である。元々誰も休憩さえ必要としていなかったのだから然もありなん。

 それから少しして、ヒヅキはやっと1つ目の魔法道具を調べ終えた。これでコズスィの地下空間で見つけた魔法道具はあと3つになった。

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