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残響54

 とりあえず何か見つけない事には判断も出来ないと、ヒヅキは階層を探索しながら歩き回る。現在居る階層はかなり広いので、探索にも時間が掛かるだろう。

(それにしても暗いな)

 明かりの類いはスキアによって破壊されているのだろうが、何かが燃えていた様な跡もにおいも無いので、明かりには魔法道具を使っていたのだろう。であれば、スキアに全て破壊されていても納得出来た。

(暗い中で生活していたという訳ではないだろうし)

 地下空間には様々な種族が暮らしていたが、その中には人間も多数居た。暗い中でも見る事が出来る種族も存在するが、少なくとも人間では不可能。ヒヅキのように、光球などで暗い中でも視界を確保することが出来る何らかの魔法を用いていれば別ではあるが、そもそも人間は魔法の行使を苦手としている者が多い種族。

 そんな種族が多く暮らしていた場所が真っ暗というのは考え難い。であれば、やはり魔法道具か使用されていたのだろう。蝋燭などで明かりを確保していた可能性も在るが、いくら広いとはいえ、密閉された空間でそれは考えものだろう。

 しかし実際のところは不明なので、何とも言えない。まぁ、どうでもいい事だが。

 周辺を隈なく調べながら進むも、魔法道具は見つからない。代わりに下層への階段を見つけた。

 しかし、まだ他にも調べていない場所があるので、ヒヅキは階段を通り過ぎて先へと進む。

(それにしても、襲撃があった割には被害が少ない。やはり物が少なかったという事だろうか?)

 戦闘跡があまりないのは、地下空間に居る人数が少なかったというのもあるし、固まっていた場所に襲撃されただけなので、そもそも戦闘自体大して起こらなかったから。

 しかし、破壊跡が少ないというのは、それとは別に物資自体が多くなかった証拠。魔法道具はそこそこ確認出来たというのに、もしかしたらそれだけだったのかもしれない。

(確認出来た魔法道具はもっと下だったか。しかしこの状況では、どうやってここの者達は生きてきたんだ? 短期なら問題ないだろうが、長期は無理だろう。ここに何時から居たかは知らないが)

 生きていくうえで必要そうな物があまり見当たらない状況に、ヒヅキはどういう事だと首を捻る。前回感知魔法で確認した時は、魔法道具の方に意識が向いていたので、あまりそこまで細かくは調べていなかった。

(いや、それでも食料はまだ在ったはずだが?)

 そう思ったが、ヒヅキは自分の記憶違いだろうかと首を傾げた。だが、スキア襲撃後はずっと張り付いていた訳ではないので、もしかしたらスキアすら欺く何者かが居たのかもしれない。

 そこまで考えた後に、今そんな事を考えた所で意味はないかとその考えを棄てて、探索に集中していく。

 スキアが居た階層を調べ終えるのに結構掛かったが、それでも探索を終えて更に下へと下りる。階段を下りた先は、階層間のくびれの様な狭い空間。

 それでも地上の村程度はすっぽり入るぐらいには広いので、探索には多少時間を要した。

 そんな狭い空間から更に下へと下りていく階段は、部屋の隅の方に隠されるように在ったが、しかしスキアにより周辺は破壊されていて、直ぐに見つかる。流石に人間一人が通れる程度の狭い階段はスキアには狭かったようだ。

 見つけた階段を使って下に下りる。

 スキアが無理矢理通った跡なのか、壁や天井部分が破壊されているので、階段の上には石や岩が転がっていて、足下が悪い。転ばないように注意しながら階段を下りると、一気に広い空間に出た。

(ここが最下層か。もっとも、探知出来る範囲内では下がないだけなので、実際はどうかしらないが)

 もしもスキアの探知さえも誤魔化せる者が居たとしたら、更に下の階層ぐらい在ってもおかしくない。もしくは隠し部屋だが、今のところそれらしい部屋は見つけていない。

 とりあえず注意して探すかと考えて、ヒヅキは最下層の探索を始めた。

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