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残響45

 行動に移るといっても、やる事はそれほど難しい事ではない。単純に地下空間へと続く道を造ってやればいいだけ。

 もっとも、ヒヅキがそれをやるには魔砲での掘削になるので、それでは何かと目立つ。今回は奇襲が目的なので、それでは趣旨に反する。

 そこでヒヅキは、今回の目的をフォルトゥナに伝えた後、地下空間へと続く道を造るようにフォルトゥナに頼む。道の大きさはヒヅキ達は勿論のこと、スキアも問題なく通れるぐらいの大きさを希望した。

 ヒヅキの頼みを快諾したフォルトゥナは、早速魔法で地下への道を掘る。

 地下からがあふれ出てくる大量の土と、それに伴い出来上がっていく地下への道。

 どんどん道が出来ていくと共に、地下から出た土が山のように積み上がっていく。そうしていると、離れたところで地下を気にしていたスキアが、ヒヅキ達の方へ意識を向ける。

 しかし、それだけで襲ってくる気配はない。襲ってきたところで返り討ちにするだけなのだが、襲ってこないというのであれば、わざわざ手を出す必要もないだろう。

 フォルトゥナが地下への道を掘り始めて数時間。周囲がすっかり暗くなった頃、地下空間へと延びる道が完成した。

 その道は広く、まるで洞窟の入り口のように大きく口を開いている。長さもそこそこあり、100メートルほど在るだろう。

 地下空間へと延びているといっても垂直ではなく、やや蛇行しながらの緩やかな下り坂だ。ヒヅキ達でもそのまま問題なく下りていけるが、今回はまずスキアに先行させる予定なので、ヒヅキ達は一旦その道から離れていく。

 十分距離を取ったところで、ヒヅキ達は休憩を取る。

 その間も穴やスキアを観察していたヒヅキは、やっとスキアが動き出したのを感知した。

 動き出したスキアは、フォルトゥナが開通させた地下へと延びる道の前で足を止める。そのまま道や周辺の警戒をしたスキアだったが、少ししてその道を下りていった。

 それを見届けた後、ヒヅキは休憩したまま、さてと感知魔法で地下の様子を確認していく。

 ヒヅキが地下の様子を確かめてみると、スキアが地下に下りてまだ数秒ほどしか経っていないというのに、既に甚大な被害が出ていた。

 地下で逃げ惑う人々。死体も量産されている最中で、おもしろいほど簡単にそれは増えていく。

(ふむ。だがしかし、スキアにしてはゆっくりか?)

 量産されていく死体を感知魔法で確かめながら、ヒヅキは僅かに首を捻る。ヒヅキが知るスキアであれば、スキアに襲撃されて逃げ惑う者達など瞬く間に全滅させている事だろう。数だってそれほど多くはないのだから。

 しかし実際は、それなりの速度とはいえ、まだ襲撃時に居た半数程度が生き残っている。

(鬱憤を晴らす為に嬲っているとでもいうのかね?)

 長いこと地下との睨み合いをしていたスキアだけに、もしかしてとヒヅキは考えるが、そもそもスキアにそういった感情が在るのかどうかをヒヅキは知らない。

 もしもスキアにもそういった感情が在るのであれば、それは大発見になるだろう。しかし、ヒヅキはそんな事に興味は無い。

(そもそもからして、スキアの元は人間なんかも含まれているわけだし、そんあ感情が在っても不思議ではないだろうさ)

 スキアは亡んだ世界の住民達を基に神が創造した存在であるので、仮にその住民の感情というか自我の残滓がほんの僅かでも消えずに残っているのであれば、そんな感情をスキアが抱いていてもなんら不思議はないだろう。

 もっとも、スキアの正体について知っている者はほとんど居ない。ヒヅキはウィンディーネから聞かされただけなので、その話が本当かどうかは判断しかねる。それでも、その事については事実であろうと、何となく感じてはいるが。

 そういう訳で、ヒヅキはすんなりと納得すると、普段よりもゆっくりと蹂躙していくスキアの様子を引き続き観察していく。

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