表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
820/1509

残響34

 そうしてヒヅキ達が首都内を探索していると、離れた場所に居たスキアが一気に距離を詰めて襲い掛かってくる。

 しかしそれは予測済みなうえに、警戒もちゃんとしていたので問題なく対処する。というよりも、ヒヅキが何かをする前に襲ってきた五体のスキアはフォルトゥナの手によってあっさりと始末された。

 いくら近くに居るのを認識して警戒していたとはいえ、スキアの攻撃よりも早く攻撃出来てしまうフォルトゥナの反応速度は凄まじいものがある。

 ヒヅキでさえ、一瞬で距離を詰めてくるスキアの初撃を防ぐか避けることは出来ても、その前に仕留めることは難しい。不可能ではない時点でヒヅキも大概だが。

 その襲ってきたスキアを始末したところで、近くのスキアは全て居なくなった。少し先にまだ居るのはヒヅキでも感知しているも、襲ってくる様子は無いので、わざわざ相手にする必要はないだろう。

 コズスィの首都はかなり広いので、探索にはその分時間が掛かる。広さだけなら、カーディニア王国の首都であるガーデンよりも上だろう。

 そんな広さのコズスィ首都だが、探索を始めて数日。何も発見出来ていなかった。

(やはりあまりにも何も無さ過ぎるな。中央の教団本部に行けば何か在るかもしれないが、もしかしたらこの何も無さは何者かが漁った後という事なのだろうか?)

 ヒヅキはその可能性を考え、であれば、もしかしたらコズスィだけではなく国境付近の砦も何者かが荒らした後なのかもしれないなと思い至る。

(考えてみればここ周辺が襲われたのは、カーディニア王国が襲撃されるよりも前だ。であれば、まだ小国が亡んだ程度の危機感だったのかもしれないな)

 スキアの襲撃から生き延びた者達も居ただろうし、干ばつが続くミャニュリュリィリエールの状態では治安もそんなに良くはなかっただろう。

 コズスィだって様々な種族の者達の集合体だ。言葉を飾らないのであれば、コズスィは流れ者の寄り合い所である。国として機能している内は国内も安定していただろうが、それが崩壊した後ではそれも望めない。

 ヒヅキの記憶では、コズスィは一応教義で争いを禁じてはいたが、それはあくまでも信仰を同じくする者同士に限った話。コズスィを信仰していないのであれば、それは悪だと断じる者もさえ居たと聞くほど。

 そんな者達だ。国が滅びればどうするかは不明。住民だって大多数が居なくなっていただろうし、物を盗むにも争う事はあまりなかっただろう。

(………………そもそも、コズスィとは何なのだろうか)

 そこまで考えて、ふとヒヅキは肝心な事を思い出す。

 ヒヅキが調べた限り、コズスィの教主の名はコズリとなっていた。こういった新興宗教の場合、教主の名前か信仰する神の名を宗教名に付けることが多いのだろうが、コズスィが崇める神は漠然としたモノで、名も無ければ姿もない。

 それは神に対して名前を付けるなど不敬だし、たとえ知っていたとしても呼ぶ事は憚られる。形を象るなどもってのほか。、そもそも姿を目にするなどあまりにも畏れ多い。という事らしい。

 そういう訳で、いくら調べたところで宗教の名前であるコズスィというモノが一体何を指しているのかをヒヅキは知らなかった。なので、適当に付けた名であるという可能性でさえも在るだろう。

 そんな訳はないだろうがとヒヅキは思うも、どれだけ調べてみてもそこの答えは見つからなかったので、断言はできないが。

(いや、今はそこはいいか)

 現在はあまりにも何も無い事への疑問について考察しているだけで、コズスィの名の由来について調べている訳ではない。それを思い出したヒヅキは、その考えを頭の隅に追いやる。

 そのまま周辺を探索しながらも、ヒヅキは首都の中央を目指して移動していく。

 そこにはかつてコズスィの本山ともいうべき教団本部の建物が建っていた場所なので、もしも何か調べるのだとしたら、そこを調べるべきであった。ただその分、もっとも狙われやすくもある場所ではあったが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ