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残響28

 そんな事もあり、現状であれば冒険者を敵に回しても面倒な事にはならないだろう。何だったら先程の拠点のように生存者を残さないという方法もある。

 しかし、問題がない訳ではなく、カタグラは特殊な魔法道具なだけに所持している冒険者と繋がっているらしく、所有者の冒険者が命を落とすと、その所有者の冒険者が所属していた国のギルド本部に移動してしまうらしい。

 どういった理屈でそうなるのかは不明ではあるが、それは伝説の転移魔法ではないかと言われている。

 もっとも、これを知る者はかなり限られているので、普通に生きている分には知ることはまず無いと断言できるほど。

 ヒヅキの場合、冒険者の知り合いが多少居るとはいえ、そこまで詳しく教えてもらった訳ではない。だが、色々と見てきた結果、何となくそんな結論に至っていた。とはいえ、冒険者が死んだら何故だかカタグラが消えていた程度の認識だが。

 そして、冒険者が死亡したら映像記録装置であるカタグラがギルド本部に転移するという事は、その直前に冒険者の身に何が起こったのかをギルド本部は把握できるという事に他ならない。なので、冒険者殺しは普段であればかなり面倒な事であった。

 まぁもっとも、こちらの方もほとんど知られていない。とはいえ、現状では機能しているギルド本部がどれだけ残っていることやら。

 ともかく、ヒヅキは冒険者が死亡した場合、カタグラも消滅してしまうのは気づいているので、残念だと思いながらも、調べるのは諦めていた。少なくとも、もう少し魔法道具について精通してからでないと、折角手に入れても徒労で終わりかねない。

 なので、ヒヅキは今は普通の魔法道具を求めていたのだが、思い出したら欲しいな程度なので、大抵全て消した後か、去った後だったりする。

 砂以外何も無い道の上を進みながら、ヒヅキは感知魔法と過去視を交互に使用していく。それでも村の跡地程度も見つからない。

(砂に呑まれたのか、徹底的に壊されてたのか)

 もしくはかなり密集して暮らしていたので、集落の数が少ないという可能性も在る。ただ、獣人は多産なので、住民の数は多かったはずだが。

(国土が広いから、単純に集落の密度が薄いとかかもしれない。それにしても、ここは定住するには向いていないな)

 砂漠になる前の状況は知らないが、それでも現状では住むには厳しいだろう。しかしそれと、誰かが住んでいた痕跡がない事は必ずしも結び付くものではない。

(何事もなければいいが……あってもスキアぐらいか)

 そこまで頻繁に休憩も補給も必要ないので、正直何も無くても問題はない。ヒヅキも何となく気になっただけ。

 仮に何か原因があったとしても、大体はスキアが原因だろう。

 どんどんと南へと進んでいくも、中々砂漠は終わってはくれない。しかし、やっとのことで集落跡を見つける。

(あの遺跡みたいな場所も珍しかったのだな)

 地下道から出たところに在った遺跡を思い出してそう思うも、それを考えれば、地下道が長かったのも納得出来た。

(やはり、密度が薄いのか。あの地下道の長さがそのまま集落間の距離と考えれば、この何も無さも納得出来るが)

 そんな事を考えながらも、ヒヅキはその見つけた集落跡へと立ち寄ってみる事にする。

 進路を変えて進むと、感知魔法で見つけた集落に辿り着く。

「ふむ。ここには家の残骸が在るな」

 そこは前回の遺跡のような場所とは違い、集落といった感じ。石で出来た家も在るが、木で出来ていたであろう家の残骸も僅かに残っている。

 とはいえ、例に漏れずにこの場所も砂に呑まれている。残っている家も半ばまで砂の中に埋もれていた。

(これでは何も期待は出来ないな)

 砂の中を掘って何かを探すというのは重労働である。わざわざそれを行うのは、何か目的があった場合ぐらいだろう。なのでヒヅキは、軽く見て回っただけで集落跡を後にする。過去視にも何も映ってはいなかった。

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