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残響21

 誰も居なくなった砂漠で、近くの岩の上に腰掛け少し休憩すると、空が白んできた辺りでヒヅキは移動を開始する。

 移動するといっても、休憩中に訊いたフォルトゥナの話では、近くには何も無いようなので、一旦地下道に戻る事にした。感知魔法で砦跡を調べて、しっかりと全てが滅せられているのは確認済み。

 ヒヅキは過去視でも周囲を確認してみたが、幻影が多くて直ぐにやめた。

 地下道に戻ると、少し考えて先へと進む。

(もう1つの拠点も確認するべきだろうか?)

 地下道を進みながら、ヒヅキはそう考える。もしかすると追っている幻影というのは、コズスィの残党という可能性も浮上してきたのだから。

(まだコズスィの文様が入った物が1つ見つかっただけだが、あれを見つけた以上、可能性が全く無いという訳ではないか)

 ヒヅキは思案しつつ、地下道の先次第ではそちらにも足を運んでみるかと決める。仮にコズスィが関係している組織であれば、潰さなければならない。

(そう、潰さなければ。コズスィだけは赦す訳にはいかないのだから)

 心の奥底に静かに燻っていた暗い灯火をその目に僅かに宿し、ヒヅキは内心でそう呟く。それはヒヅキという人物に残された唯一の灯火かもしれないが、そんな事はどうだってよかった。

 たとえその結果がその灯火を自ら吹き消す行為であったとしても、それでも構わなかった。あの頃からヒヅキの目的は何も変わってはいない。ただ終わったと思っていたモノがまだ終わっていなかっただけ。

(神だ何だと知った事ではないが、こればかりは違う。これに関しては自分で解決しなければならない事だろう。全ての元凶。そこに属しているだけで万死に値する)

 怒りで大きく感情が動く事はもうないが、それでも治まることのない感情が静かに底に流れているのをヒヅキは感じていた。

 そのおかげで頭は冷静でいられるので助かってはいるが、油断するとすぐにでももう1つの拠点に向かってしまいそうになる。

 それでも何とか自制しながら地下道を進んでいく。過去視で視る限り、現在進んでいる方向には誰も来ていないようで、幻影は全くない。なので、過去視から感知魔法に切り替えて、地下だけではなく地上の様子も同時に調べていく。

 地面越しなので感知の精度はあまり良くはないが、現在居る周辺には何も居ないよう。しかし、少し離れた場所にスキアが居るようだ。だが、流石のスキアも地面を一瞬で突き破っては来れないので、地下に居る間は感知できている限りはスキアも脅威ではない。

 地下道の先はまだまだ続いているようだが、当分分かれ道はないようだ。

(それにしても、この地下道は誰が何の為に造ったんだろうか? 地上への出口も多くはないし)

 ヒヅキは先の様子を探りながら、地下道について考える。

 この地下道はあの拠点に居た組織の者達が造った訳ではないようだが、では誰がこんな不便な地下道を造ったというのか、それは分からない。

(生き物が通ることを想定している様な造りではないから、もしかしたら排水溝のように生き物以外を通すための設備だったのかもしれないな)

 地上の現状が砂漠だからといって、この地が昔から砂漠だったとは限らない。であれば、その可能性も在るだろう。

(確かミャニュリュリィリエールは結構長い歴史があったはずだから、その場合ここは遺跡という訳ではなく、砂漠化する前までは機能していた施設という可能性も在るのか)

 そこまで考えたヒヅキは、どうでもいいかとその考えを棄てる。何にせよ、ここが再び使われるような事はないだろうから、道として通れるのであれば関係ない。

(さて、次は何処に出られるのやら)

 まだまだ続く地下道を進みながら、ヒヅキは出口を見落とさないように周囲に目を向けていく。地下道は全体的に古い感じなので、ふたの存在感は意外と薄かった。なので、見落とさないように気をつけなければならないだろう。

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