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残響15

 情報を得た後、ヒヅキは過去視を起動しながら、幻影が進んでいる先を予測しながら戻っていく。追っていた幻影は、比較的読みやすい軌道で進んでいたので、問題なく合流できるだろう。

 そうして歩いていると、フォルトゥナから報告が入る。

『ヒヅキ様。監視を任されていましたあの一団ですが、スキアの襲撃に遭いました』

『結果は?』

『現在抗戦中ですが、一団は既に半壊。あと10秒もしない内に全滅するでしょう』

『……なんだ、対抗手段は持ってなかったのか』

『はい。魔法武器の類いは一切持っていなかった模様。魔法も脆弱なもので、スキアは無傷です。そして、今しがた全滅しました』

『そうか。ろくな魔法もなく、それでいながら魔法武器を1本も持っていなかったのか』

『加えて戦闘経験はそれなりに在ったようですが、スキアに対しては経験も知識も不足していたのか、ほとんど無抵抗のままに蹂躙されました。魔法を放ったのも一人でしたので、スキアに対してはあまりにもお粗末な物でした』

『偵察も野盗辺りを警戒している分には問題ないのだろうが、偵察範囲が狭かったからね』

 思い出してみても、そもそもろくに隠れていないヒヅキ達の接近すら感知できないような警戒網だ。あれではスキアの接近は分からないだろう。それこそ最初の一撃で半壊したのだろうと容易に予想できた。

『ま、結局あれらが何かは分からなかったが、そんな事はどうでもいいしな。必要な情報は入手出来たし、他はおまけだ』

 貴人の警固というのもあるし、それに加えて変わり者の冒険者という事も在って、何か面白い物でもと少し期待していただけ。ただそれだけなので、何も無かったのならそれはそれで構わなかった。

 フォルトゥナとの会話を終えて、ヒヅキは小さく息を吐く。その一団の様子は、現状を現しているよう。

(あれらが滅びたのはどうでもいい。しかし、現状があんな感じであれば、既に世界は滅んでいそうなものだが。それ以前に、キャトルはつい最近亡んだという。あんな強さでつい最近という事は、今まで大した攻撃は無かったのか、それともスキアとの戦闘で戦える者達が軒並み死んだのか。前者であれば、神は何故手を抜いたんだ? 遊んでるにしても杜撰なような気もするが……もしかして、世界を同時に攻めるのは、流石の神でも情報の処理が難しいのか? それでスキアの指揮を全て出来ていなかったとか)

 仮にそうだとしても、キャトルが亡んだ以上、既に全体の数がかなり減ったという事なのだろう。

(それであれば、そろそろカーディニア王国の番かな。もしくはこちらに向かってくるか)

 何にせよ面倒な話だが、向かってくるなら倒すのみだし、カーディニア王国に攻め込むならば、そもそも知った事ではない。

 問題は神に余裕が生まれる事だろう。それであれば、ヒヅキへの監視も強くなるかもしれない。何だかんだといっても、ヒヅキへの監視は遠くから眺める程度のものが多く、最近はそれも緩くなってきたような気がしてきていた。

(余裕が生まれて観るだけではなくなったら、より面倒な事になるだろう。本当、面倒だ。もう俺にとって倒すべき相手も居ないというのに)

 ヒヅキが倒したかったコズスィという宗教国家は、スキアの手によって亡ぼされたという。なので、ヒヅキには正直もう戦う理由はないのだが、そんな意思とは無関係に流れに呑まれているのが現状である。

 その状況では、流石のヒヅキでもげんなりしてしまうというのも致し方のないこと。

 内心では疲れながらも数日道を進むと、予定通りに追っていたと思われる幻影を見つける。

 見つけた後に幻影が続いている先に目を向けると、その幻影は途中まで追っていた方角に向かって続いている。なので、おそらくこの幻影が追っていた幻影だろうと頷いたヒヅキは、補給の為にもその場で1度休憩する事にした。

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