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人探し98

「お尋ねしたい事が1つあります」

「それは?」

「昨日、別次元について教えてくださいましたが、その別次元を視る事は可能ですか?」

「そうですね、別次元に入る事に比べれば不可能ではないですが、それでも難しいでしょう」

「そうなのですか。それは私でも可能ですか?」

「何か切っ掛けが在れば可能でしょうが……何かありましたか?」

「どうしてです?」

「いえ、昨日は問われなかった事を問われましたので、その間に何か在ったのかと思っただけです」

「そうでしたか。別に何も在りませんでしたよ。ただ改めて考えた時に、既存の探知系の魔法では感知不可能なのであれば、他に対象を捉える手段がないものかと思い至っただけです」

「そうでしたか」

 ヒヅキの説明に、女性頷く。本当に納得しているのかどうかは分からないが、ヒヅキにはただ合わせて頷いただけのように思えた。

 しかし、それは別にどうでもいいので、話の続きを促す。

「それで、その別次元を視る為に必要な切っ掛けというのはどういったものなのでしょうか?」

「例えば、別次元を体験するでしょうか」

「別次元を体験する?」

「ええ。そもそも別次元に入るには、1度その次元を体験する必要が在ります。ですので、この次元の者が別次元に干渉するのは難しいのです」

「そんな事、どうすれば………」

「正攻法ではまず不可能でしょう。もう亡んだ世界の話なのですから、そこに一瞬でも存在しなければならないなど不可能に近い」

「…………亡んだのに存在するので?」

「そうですね、ここでは別次元と表現しますよりも、異なる時間軸の世界と表現した方が理解しやすいかもしれませんね」

「はぁ……」

 ヒヅキは女性が言わんとしている事の意味は理解出来るが、それでもいまいちよく解らなかった。では、神が滅ぼしたという世界は一体何処に行ったというのか。いや、時間軸が異なるだけなのかもしれないが。

 そんなヒヅキの疑問を察したのか、女性は少し困ったように眉尻を下げるも、言葉が見つからないのかその事について答えない。

「なので、正攻法ではまず不可能でしょう。ですので、もしも別次元を視たいと望むのであれば、その剣を使っては如何でしょうか?」

「剣? これをどうしろと?」

 女性の言葉にヒヅキは近くに置いていた剣を手に取り、それへと目を落としながら怪訝そうに女性に問い掛ける。

「以前にも言いましたが、それは次元を斬れる剣なのです。そして、次元を斬って別次元を覗き見さえすれば、その次元を視る事が出来るようになります。もっとも、それでも簡単な話ではありませんが」

「………………」

 女性の話を聞きながら、ヒヅキは剣の柄を握り、鞘から少し剣を引き抜く。

「空間はどうやって斬れば?」

「貴方なら理解出来ているのでは?」

「まぁ、やり方は何となくは」

「では、それに従うだけです。ただ注意すべきは、必ずしも目的の次元を覗き見れるとは限らない事でしょうか」

「別次元はどれほどの数が在るのですか?」

「さぁ? 私も正確な数字までは知りませんね。ですので、無数にとしか」

 やや申し訳なさそうな表情を見せると、女性は小さく首を横に振った。

「そうですか……」

 ヒヅキは残念そうにそう零すが、たとえ目的の次元を覗き見る事が可能だったとしても、どの次元が目的の次元なのかヒヅキは知らない。それ以前に、本当に別次元からヒヅキを監視している者が居るのかどうかも不明であるので、正直そこに残念だという想いはなかった。単にその場の流れでそう呟いただけに過ぎない。

 剣を鞘に戻すと、ヒヅキは剣の使い方に意識を向ける。その頃にはエイン達が起きていたので、実際に次元を斬るのは今夜になる事だろう。

 そう考えながら使い方を確認していると、エイン達が天幕の中から出てきたのだった。

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