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人探し97

(少し考えただけで可能性は幾つか思い浮かぶ。例えば、あの幻影自体が水晶の欠片周辺以外では視る事が出来なかったのだから、同じように視る事が出来ない何者かがその場に居たとか。もしくは直接的に見せる為ではなく、後から来る誰かに印を残す為にあそこで何かをやっていたとか。意味がないという可能性だってあるし、単に回っていたら偶然その中心に水晶の欠片が在っただけという可能性だって在るだろう。それでも行きと帰りの両方が確認出来なかったところを鑑みるに、普通ではないのは確か。過去視を完全に掌握している訳ではないので、どうして視えなかったのかまでは分からないが、あの女性との話を思い出すと、もしかしたら別次元に隠れたとか? そうなると、あれは神? ……いや、おそらく違うか。であれば、女性に匹敵する何か? 分からない。分からないが…………)

 ヒヅキは幾つかの可能性考えながら、それらを脳内で検討していく。そんな事をしばらくしたところ、ある可能性に行き着いた。

(もしかして、あれは罠だったのか? あれを視る事が出来る者を探すための……しかし、あの時周囲には誰も居なかったが――)

 そこまで考えたところで、ヒヅキは女性の存在を思い出して、悔しげに奥歯を噛んだ。

 今もふらりと何処かへと行った女性だが、相変わらず探知系の魔法に一切引っ掛からない。それについて女性は説明してくれたが、今はそれはどうでもいい。重要なのは、女性は探知魔法の一切に引っかからないという事。それはつまり。

(別次元とやらからこちらを監視していたとしたら、俺では感知不可。それはフォルトゥナも同じ。幻影の行きと帰りが確認出来なかったのが別次元に居たからだと仮定すると、つまりは対象は別次元に移動できる存在という事になる。ならば、あれを視る事が出来る者をそこから待つ事も可能だろう…………そうだとしたら、まんまと嵌められた訳か。間抜けだな。そして、その相手は今でもこちらを見ているのだろうか?)

 相手の目的が判らない以上、それも可能性でしかない。しかし、十分にあり得る可能性だった。そして相手の目的が判らない以上、その仮定が正しければ、未だにヒヅキは監視されている可能性が在った。

 慌ててヒヅキは周囲を見渡すも、別次元に居る相手は肉眼でも見る事が出来ないので、それは無意味な行動。

 今まで何かしらの接触が無かったところから、もしかしたらただの勘違いなのかもしれないが、それでも警戒するに越した事はないだろう。今更かもしれないが。

 それにそう考えてしまうと、何だか不気味に思えてくる。監視されている事が確定ではないのだが、それでも1度気になってしまうと、どうしても強迫観念めいたものに囚われてしまう。

 ヒヅキは今の考えを一旦頭の片隅に追いやると、過去視に集中することにした。そうでもしなければ気になってしょうがない。

 それでも完全には集中できない。意識したからかは分からないが、何処からか視線を感じるような気さえしてくる。

 とはいえ、監視されているのが事実であったとしても、ヒヅキでは別次元の感知は出来ない。この辺りは後で女性にでも尋ねなければならないだろう。

 ヒヅキは諦めて過去視の制御に集中しようとするのだが、やはりいまいち集中出来ない。それでも何もしないよりは進展が在るだろうと信じて、そのまま夜を明かした。

 翌朝にエイン達が起きてくる少し前に、いつも通りに女性が帰ってくる。

 それを目にしたヒヅキは、女性が近づいてきた辺りで声を掛けた。

「お帰りなさい」

「ただいま。それで、今回は何が訊きたいのですか?」

 ヒヅキに挨拶をされた女性は、挨拶を返しながらそう問い掛けた。昨日の今日なので、また何か用があると判断したらしい。

 それならば話が早いと、ヒヅキは早速とばかりに先程の考えを問い掛ける事にした。

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