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人探し94

 そんな何処かそわそわした落ち着かない空気の中、話し合いは終わる。今後の予定も無いので、話し合いも気になった事やガーデンに着いてからの話が多い。

 話し合いを終えると、エイン達は天幕内に入っていく。特に何も無いので、やる事は変わらない。

 行きと比べて変わった事は女性が増えた事ぐらいだが、女性は夜になるとふらりと何処かへと行ってしまうので変化らしい変化は無く、フォルトゥナは周辺の警戒を、ヒヅキは過去視の制御を行う。

 もっとも、目的は達したので過去視の制御ばかりをしている訳ではなく、他の魔法について改めて調べてみたり、魔鉱石を精製したり、義手の保守点検も行っている。たまには身体を拭いたりもするが、それでも基本的には過去視の制御を行っていた。

 それを朝まで行う。過去視の制御をしているおかげで魔力操作が上達したので、その影響で魔法関連の魔力効率と威力が上がっているのだが、試していないのでまだヒヅキはその事に気がついていない。ただ、少し感じが違う事には気がついているようだが。

 朝になりエイン達が起きてくる頃に女性が帰ってくる。前にヒヅキが夜の間に何をしているのか問うた事があったが、その時はただの散歩だと返された。

 そう答えた女性はいつもの微笑みを浮かべるだけだったので、そこから女性の感情を読み取ることが出来ないヒヅキには、女性が答える気が無いのか、はたまた本当に散歩なのかは分からない。それでも女性がそれ以上答える気が無いのだけは理解出来たので、気にしない事にした。

 まだ天幕の中にエイン達が居る間に、ヒヅキは帰ってきた女性に声を掛ける。

「お帰りなさい」

「ただいま」

「帰ってきて早々申し訳ないのですが、ひとつ訊いても?」

「私に答えられる範囲でならどうそ」

「では、どうやって探知系の魔法を掻い潜っているのでしょうか?」

「ああ、それなら簡単ですよ。別の次元に入ればいいだけですから」

「別次元」

「ええ。その貴方達が使う探知魔法は、この次元に於いては有効ですが、別次元には及びませんから」

「…………えっと」

 ヒヅキは顎に手を置いて思案しながら、近くに置いてある剣の方に視線だけを向ける。するとそれに気がついた女性は、小さく頷く。

「その通り。その剣は次元を超えて切断する剣。であれば、次元の裏に隠れた相手も斬る事が可能でしょう」

 別次元という単語に反応して視線を向けただけなのだが、女性にはヒヅキが何かに気がついたと勘違いしたよう。そして、その勘違いとは。

「だからこそ、その剣は神殺し。別次元に住まう神を斬る事が出来る唯一の武器なのです」

「え? 神は別次元に住んでいるので?」

「はい。それは知っていたのでは?」

「いえ」

「そうでしたか。では少し説明しますと、神という存在はこの世界では容量が多き過ぎるのです。ですから、別次元で暮らしています」

「そうだったんですか……」

 初めて聞いた話にヒヅキは何とか理解しようと頭を働かせながら、面倒な相手だと考える。それと同時に、自分には関係のない話だと思いたかったが、何となく嫌な予感しかしない。その神殺しの剣が手元にあるのだからそれは半ば確信に近いのだが、到底勝てる相手ではないので、出来れば勘違いであって欲しいと心底願う。

「はい。ですので、貴方達の探知魔法では神を探す事は出来ません。その剣を使えば斬る事は可能ですが、適当に振るって偶然当たるなどという事はありえないので、神を斬る為にはまずは神の住処へと至る道を探す必要が在ります」

「そう、なんですね……それで、何故それを私に?」

「話の流れです。気にしないでください」

 女性は変わらぬ笑みでそう告げるも、流石にヒヅキにはそう思えなかった。どう考えても、言外にお前が相手にするんだよと言われている様にしか聞こえない。その為に相手の情報を提供しているという風にしか取れなかった。

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