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人探し89

 何事もなく朝になり、朝食や準備などを済ませてから道を進んでいく。

 それから二人並んで進むには幅の狭い道を進み、幾日かが経過した。そうして進んだ先で、やっと目的の道に出る。

 目的の道も狭いのだが、それでもギリギリ三人は並んで進める程度の広さは在った。

 その道からは急に起伏が激しくなるも、ヒヅキ達が進む方向は下りが多い。坂道というよりも岩肌を下りる自然の階段といった感じではあるが。

 ヒヅキ達は慎重な足取りで道を進みながら、カーディニア王国側へと進んでいく。

 フォルトゥナの報告では、ホーンは亡んだと推測できるので、スキアにだけ気をつけていればいいだろう。元よりヒヅキ達が来た時からホーンは国として機能していなかったようだが。

 最後まで抵抗していた首都だと思われる場所の様子などは別に気にもならないので、ヒヅキは早々にガーデンに戻りたかった。ガーデンに戻れば、エインとプリスを置いていく事も出来るだろう。

 それに、スキアに落とされた場所のその後など何処も似たようなものだ。わざわざ見に行く必要など全くない。

 ヒヅキはこのままガーデンに戻った後にどうしようかと考えながらも、先へと進む。もう過去視を使う必要はないのだが、しっかりと修得する為と、念の為に過去視を使用している。

 視える幻影は小規模な集団の移動風景なので、スキアから逃げている住民達のものかもしれない。そうは思うも、それがどれだけ前か分からないので、何ともいえない。

 それにしても、やはり女性の幻影を追っていた時に視えた謎の集団はこちらには来ていないようなので、女性を追っていたのは確定だろう。

(後でその事を訊いてみるか)

 女性を発見した時の事を思い出しながら、多分無駄だろうなと思いながらも、次の休憩の時にでも訊いてみようとヒヅキは考える。

 幻影が個別の可能性もなくはないが、様々な種族が集まった集団で間違いないだろう。それはそれで面倒そうな存在であった。

(まぁ、俺には関係のない話だろうが……)

 もう帰るだけなのでヒヅキはそう考えてみたものの、しかし現在ヒヅキは女性と行動を共にしていて、背嚢には封印されていた剣を括りつけているので、狙われないとは言い切れない。

 それに気がついたヒヅキは、どうしたものかと面倒そうな表情を浮かべた。

(まず、どちらを狙っていたかでも変わってくるな。両方だと面倒だが、女性だと距離を取ればいいし、剣なら隠せばいい。剣は元より隠す予定だから問題ないとして、あとは女性と距離を取るようにしていれば大丈夫だろうか?)

 対策について考えながら道を進み、定期的に休憩を挿みながらガーデンを目指す。

(………………うーん?)

 何事もないまま数日道を進んでいると、ヒヅキは妙な気配を感じて首を傾げる。しかし、周辺を感知魔法と気配察知で調べてみても何も引っ掛からないし、周囲を見渡しても何か変わった事はない。

(気のせい、か?)

 そう思ったヒヅキだが、念の為にフォルトゥナにも確認してみる事にした。

『フォルトゥナ、この周辺に何か居る? もしくは何か魔法的な反応はある?』

『いえ、周辺には誰も確認出来ません。魔法的な反応も…………ありません』

 僅かに間を置いたフォルトゥナだが、ヒヅキはその事は気にせず、その答えに礼を返してから考える。

(何も無い、か。ではやはり気のせいなのか?)

 周辺を自分で調べた結果と、フォルトゥナの返答を聞いてそう判断するも、それでも何かが引っかかる様な妙な感覚に、ヒヅキは内心で首を捻る。

 しかしいくら考えても異常なしという事以外は分からない。なので、ヒヅキは微かな違和感を抱きながらも、その事を頭の外に追い出した。違和感があるといっても、警戒するほどの嫌な感じではなかったのも大きいだろう。

 それから更に数日後、ヒヅキ達は崖の道を迂回する形で、その先の道に戻る事が出来たのだった。

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