人探し68
スキアの襲撃に、ヒヅキ達は即時対応する。元々戦闘態勢を整えていたというのもあるが、警戒していたので直ぐにスキアの襲撃を感知できたのが大きい。それが出来るのは、普通は冒険者ぐらいなもの。
そのうえ、迎撃で逆に襲ってきたスキア二体を瞬殺するのだから、ヒヅキの強さはかなりのものであった。しかし、襲撃してきた二体のスキアだけではなく、近くまで移動してきた三体のスキアを同時に屠ったフォルトゥナの強さはそれ以上であったが。
そのまま襲撃してくるスキアとの戦闘に突入していくが、フォルトゥナは正面から襲ってくるスキアに対処しながらも、側面から近づいてくるスキアを悉く倒していくので、ヒヅキは目の前のスキアの相手をすればいいだけになり、物凄く楽であった。
それでもそれなりの数が取り囲んでいたので、襲撃は直ぐには終わらない。
(統率されている割には、諦めが悪い)
途切れる事無く襲ってくるスキアの相手をしながら、ヒヅキは呆れたようにそう思う。このスキア達の統率まで神がしているのかは不明だが、もしそうだとしてらあまりにも杜撰過ぎるだろう。
襲撃してくるスキアの種類も様々で、素早い近接攻撃をしてくる獣型や、中距離から獣型のスキアが攻撃する隙間を縫うように嫌らしい攻撃をしてくる人型。遠距離から種のような砲弾を飛ばしたり、地面から触手を出してきて奇襲を仕掛けてくる植物型。中には飛翔している虫型のスキアも居る。空を飛ぶのは珍しいスキアではあるが、山岳地帯だからかもしれない。
ヒヅキは近距離まで接近してくる獣型のスキアを倒しながら、地を蹴って少し離れた場所に居る人型のスキアの相手をする。しかし、天幕を護りながら光の剣のみで戦うとなるとそこが限界で、遠くから攻撃している植物型にまで手が回らない。
襲撃している虫型のスキアは攻撃手段が少ないようで、上空に居て厄介な割には脚やお尻の先端に付いている槍の穂のようなモノを使って上空から刺してくるのみ。その際に地上に近づいてくるので、植物型よりも対処が楽。
(さて、どうしたものか)
魔砲を使えば簡単なのだが、魔砲は光の剣よりも魔力消費量が多いので、どれだけ戦う必要があるか分からない以上、魔力の節約はしておきたかった。
フォルトゥナに習ったので普通の魔法もヒヅキは一応使えるのだが、しかし何故か、全ての魔法が発揮すべき威力が出ずに少し落ちているので、スキアにはあまり通用しないだろう。
(せめて獣型のスキアだけでも倒しきれれば何とかなるのだが)
植物型のスキアの攻撃をいなしながら、攻撃対象が天幕にならないように気をつける。
離れた場所に居る植物型のスキア以外の数はかなり減らせたのだが、それでも殲滅は出来ていない。増援もあるので、なかなか手が回らない。
(フォルトゥナは流石というか……)
ヒヅキは感知魔法でフォルトゥナの様子を窺うが、フォルトゥナは魔法を駆使して距離に関係なくスキアを殲滅していっている。それでいて大して動かずに全方位に対応しているので、正直ヒヅキは必要ないほど。
「………………」
それを確認したヒヅキは、少し考えて天幕の護りはフォルトゥナに任せて、必要ないと理解しながらも、身体を動かす為に植物型のスキアの殲滅に向かう事にする。
『フォルトゥナ』
『どうかしましたか?』
『ちょっと遠方のスキアを倒してくるから、少しの間天幕の護りを任せてもいい?』
『お任せ下さい』
『ありがとう』
フォルトゥナに天幕を離れることを告げたヒヅキは、離れたところから攻撃してきているスキアを見据えて地を蹴る。
自由に動き回れるのであれば、多少のスキアなどヒヅキの敵ではないので、それからはヒヅキの一方的な殲滅劇となった。
天幕を中心とした周囲を回りながらの殲滅のおかげで、フォルトゥナにかかる負担も大分減る。
程なくして、離れた場所から攻撃していたスキアを大方殲滅すると、ヒヅキは天幕の方へ戻って少し休憩するのだった。




