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人探し58

 透明な赤色が美しいそれは、どう見てもただの宝石。ということは、穢れの浄化が完了したという証。それに、見た目はただの宝石ではあるが、1度穢れた以上は普通である訳がなく。

「……ふむ。ちゃんと魔鉱石になっていますね」

「ええ。あげるわ」

「いいのですか?」

「ええ。だって私には要らない物だから」

「では、ありがたく」

 ヒヅキはウィンディーネが差し出してきた魔鉱石を受け取る。手のひらぐらいの大きさなので、魔鉱石としてはかなり大きい部類に入る。

「まぁ、ヒヅキがどうしても対価を支払いたいというのであれば、ヒヅキの生命力でいいけれど?」

 魔鉱石を受け取ったヒヅキに、ウィンディーネはにこりといい笑みを浮かべてそう告げる。

 中々に悪辣な手腕にヒヅキは呆れたように小さく息を吐くも、欲しい物ではあるし、ウィンディーネに貸しを作りたくはないので、ヒヅキは生命力を差し出す。それに、ウィンディーネもまだヒヅキを殺すつもりはないのだから、生命力を吸い取るといってもそれほど大量ではないだろう。

「分かりました。私の生命力を対価としてウィンディーネに差し上げましょう」

「ふふふ。それでこそヒヅキね」

 機嫌よくそう告げると、ウィンディーネは容赦なくヒヅキの生命力を吸い取る。それで一気に生命力が抜けた感覚が襲ってくるも、やはり加減はされているようで、僅かな虚脱感を覚えただけでふらつく事もなかった。

「ご馳走様♪」

 機嫌よくそう告げると、ウィンディーネは艶美な笑みを浮かべる。

 しかしヒヅキはそれを気にする事なく魔鉱石を背嚢に仕舞うと、対価に生命力を支払ったのでもう用は無いとばかりにウィンディーネを無視して横穴内の壁や床、天井を簡単に調べていく。魔鉱石が在るようなら、明日にでも採掘してみようと考えて。フォルトゥナも同じ様に横穴内を調べている。

 しかしもうすぐ日が完全に暮れてしまうので、ほどほどのところで調査を切り上げてエイン達と合流する事にした。

 ヒヅキは横穴を出ると、フォルトゥナに調査の結果を尋ねた。

『どうだった? 魔鉱石は見つかった?』

『はい。小粒では御座いましたが、確認できました』

『そうか。なら明日は魔鉱石の採掘をしようか。魔鉱石があれば色々と作れるようになるからね』

『はい。ですが、そこまで数はないかと』

『だろうね。まぁ、少しでも手に入ればいいさ』

 元々魔鉱石は貴重な物である以上、小粒で数が少なくとも採掘する価値は十分にある。正直ヒヅキがウィンディーネから生命力を対価に引き取った魔鉱石だけでも十分過ぎるほどの収穫であったりするのだから。

 横穴を出て少し進むと、エイン達と直ぐに合流出来た。エイン達は四人が座っても十分広さがある場所を見つけて確保していた。そこであればエイン達が足を伸ばして寝る事も出来るだろう。

 もうほとんど日が暮れ始めていたので、急いで防水布を敷いて角灯に火を灯す。まだ姿を現したままのウィンディーネもその上に腰掛けたので少々狭いが、誰からも文句は出なかった。

 角灯の明かりを頼りに夕食を食べる。その後の話し合いの席で、ヒヅキはエイン達に魔鉱石を見つけた事を告げた後、明日はそれの採掘をする予定だと伝える。

 それにエイン達は了承すると、明日は採掘する事があっさりと決まったのだった。

 話し合いが終わると、エイン達は寝る準備を行う。それが整うと、角灯の火を消して眠りにつく。

 それからはフォルトゥナに周辺警戒を任せて、ヒヅキは過去視の制御を行う。その間もウィンディーネはヒヅキの隣に腰掛けたまま。

 ヒヅキはそれを煩わしく思いながらも、朝までには姿を消すだろうと考え、過去視に制御していく。そうする事で意識からウィンディーネの存在を追いだしたのだった。

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