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人探し57

 道なき道を進み、昼も過ぎた頃。次第に強くなってきた穢れの気配に、ヒヅキは気を引き締める。

 ウィンディーネの話通りに規模は小さいようで、以前感じた吐きそうなほどの気配は今回はしない。それでも息苦しさは幾分か感じるので、やはり穢れは存在しているのだろう。

「………………」

 穢れの気配とは別に魔物の存在を捉える。感じる強さを以前戦った魔物と比べると、最初に戦った魔物とほぼ同等かやや劣るぐらい。それが二体なので、これならば問題ないだろうとヒヅキは考える。フォルトゥナも手伝うのであれば、一人一体なのだから確実だろう。それでも油断するつもりはないが。

 後ろの様子を確認すれば、溢れてきた穢れの気配を感じてか、エイン達の表情は固い。それが何かまでは解っていないのだろうが、それでも良くないモノだというのは理解しているのだろう。

 そこに到着したのは夕方になってから。普段であれば休憩場所を探すところではあるが、穢れの近くで休憩などしたくはないので、まずは穢れの元をどうにかすることにした。

「ウィンディーネ」

「何かしら?」

 ヒヅキが呼びかけると、いつもの様に近くに姿を現すウィンディーネ。

「これから穢れを浄化させたいのですが、手伝ってはくれませんか?」

「んー、まぁここでならばいいわよ」

「ありがとうございます。では、浄化の方はお任せします」

「ええ」

 ウィンディーネは軽い調子で承諾する。以前のような地下ではウィンディーネは生命力の供給が難しくなるので力の消耗を嫌っただろうが、幸い穢れが在る場所は岩の途中に在る洞窟。いや、横穴か。

 探知魔法で調べてみれば、入り口から奥までは10数メートルほどしかない。ただ天井だけは高く、奥行きの倍ぐらい。

 つまりは地下ではないので、ウィンディーネへ生命力は問題なく供給される。だからこその軽い返事なのだろう。穢れの原因がそれほど深刻ではないのもあろうが。

 そんな場所に魔物が二体。一体は入り口から入って直ぐに居るようだが、動きは鈍い。その横穴は奥行きは無いが横幅はもう少し広い。しかし、人間の数倍は大きさがある魔物では狭いのだろう。それでも出てこないのは、入り口が狭いから出てこられないのかもしれない。

(そんな事はないか)

 そう思ったヒヅキだが、入り口も岩で出来ているだけなのだから、魔物であれば破壊は可能なはず。それでも壊さず大人しくしているのは、穢れの元を護っているからなのだろう。

 そしてもう一体の魔物だが、どうやら天井に張り付いているよう。感知魔法で調べたところ、蜘蛛の魔物だと思われた。

 両者とも厄介といえば厄介だが、強さで言えばスキアの方が上。狭い場所ではあるが、ヒヅキには光の剣が在るので問題ない。フォルトゥナは各種属性魔法もだが、消去魔法もある。それに加えて高い身体能力も備わっているので、そもそも距離など関係なかった。

 準備や確認を終えた後、エイン達に近場で休憩するのに適した場所を探してもらい、その間にヒヅキ達三人は穢れが満ちている横穴へと移動して、中へ入る。

 先頭はヒヅキ。中の様子は調べたので、罠が無い事は確認済み。蜘蛛の糸も天井にしかないので、光の剣を手に横穴に飛び込むと、ヒヅキは目の前にいる魔物を呆気なく切り刻む。

 続いて入ってきたフォルトゥナは、天井に居る蜘蛛の魔物を凍らせると、それを砕いて終わらせる。頭上からキラキラと輝く氷の破片が降り注ぐも、それは地面に着く前には消滅していた。

 ものの数秒で魔物を二体とも片づけると、最後に悠々と入ってきたウィンディーネが、奥の壁に在った黒の混じる赤色をした小振りな石に手を伸ばす。

「やっぱり育っていないわね」

 そういうと、ウィンディーネは摘まんで取り出した小石を軽く握る。そうすると一瞬だけウィンディーネの手の中が光を放ち、次に手を広げた時には、黒の混じる赤だった石はキラキラと輝く透明な赤色へと変わっていた。

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