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人探し56

『穢れ、ですか?』

『ああ。あの嫌な感じは、穢れの気配だな。この周辺に神でも居たのかも? ……それにしては微量な気もするが…………』

 道の先の様子を感じながら、ヒヅキは難しい顔を一瞬浮かべると、詳しい相手に話を聞いてみる事にする。

「ウィンディーネ」

「何かしら?」

 目の前に現れたウィンディーネに、ヒヅキは僅かに考えた後に問い掛けた。

「この周辺に神は居ますか? 先に穢れの気配っぽいものを感じるのですが」

「昔なら居たけれど、今はここに居ないわね」

「そうですか」

「ええ。この先に在る穢れは、魔石の類いね。その影響で魔物も居るようよ」

「魔物ですか……それはまた面倒なモノですね」

 面倒だと顔に出しながらも、ヒヅキはそこでなら魔鉱石の補充が出来るかもしれないなと、少し期待する。魔鉱石が必要という訳ではないが、魔鉱石は色々と役に立つので、あれば便利だろう。それに今はフォルトゥナも居るので、魔物も敵ではない。

「まぁ、そこまで数は居ないようよ。穢れの規模もまだ大きくはなっていないようだから」

「そうですか。それでは、明日少し寄ってみましょうかね」

 魔鉱石の補充も行いたいと思っていたので丁度いいと考えながら、ヒヅキはそう口にする。それに追っている幻影も穢れの方向に進んでいるので、もしかしたら幻影も寄っている可能性も在った。

『そういう訳だから、明日もよろしくね』

『御任せ下さい! ヒヅキ様の為でしたら魔物如き消し去ってみせますので!!』

 表情は変わらないが鼻息荒いフォルトゥナの返事に、ヒヅキは内心で苦笑しつつも、頼もしくはあるかとフォルトゥナの頭をひと撫でした。

 そうして話を終えるも、ウィンディーネはヒヅキの目の前に立ったまま。

 姿を消すかどうかはウィンディーネの気分次第なので、ヒヅキが何か言ったところでウィンディーネを悦ばせるだけ。なので、ヒヅキは無視するだけでに留める。

 立ったまま休憩しながら、ヒヅキは過去視の制御を行う。

 過去視を起動した事で幻影が現れるが、対象はエイン達が眠っている岩の上で休憩していたらしい。その後に先へと進んでいる。他の幻影も岩の上で休憩しているので、おそらく対象の後に来た者達なのだろう。

(本当に何者だ?)

 砦跡の時よりは数が減ってはいるが、それでも対象の後を追跡している幻影に首を捻る。しかしそれで答えが出る訳もない。

(まぁ、追っていけばどこかで何かを見つけるかもしれないか)

 改めて考えても分からないと頭を切り替えて過去視の制御に集中していく。やっと少しコツを掴んで色分けが多少できたとはいえ、まだまだ過去視で出来る事の入り口にも立っていないだろう。

 その事に気が滅入りそうになるも、腐らずに集中する。それに、そうしていなければウィンディーネの存在が嫌でも目に入ってきてしまう。

 ウィンディーネはヒヅキが相手しなくとも楽しげにしていて、姿を消す様子はみられない。

 ヒヅキの横では、そんなウィンディーネを冷たい目で見ているフォルトゥナ。

 ギスギスとした空気が漂っているも、ヒヅキは過去視の制御に集中しているので、その事は意識の外に置いている。エイン達が寝ている岩はそんな三人から少し離れているが、それでも起きる様子は無い。意外と二人共神経は図太いのだろう。

 その空気のまま朝になる。エイン達が起きてきた辺りで、ウィンディーネは姿を消した。

 ウィンディーネが姿を消した事で空気が大分和らぐが、それでもフォルトゥナの視線は虚空の一点に向けられている。

 ヒヅキは過去視の制御を終えて目を開けると、起きたエイン達の方に顔を向けた後、二人と朝の挨拶を行う。

 その後に夕食の時同様、エイン達を岩の上に座らせたまま朝食を摂る。

 それも手早く済ませると、ヒヅキは出発前にエイン達に穢れの説明と、これから穢れの場所に向かう事を説明した。

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