表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
734/1509

人探し55

 足下に気をつけながら、幻影を追って移動していく。岩の針が生えているのを横目に進んでいくも、夕方になっても針山は抜けられない。

 過去視を切ると、寝る場所の確保が出来るのだろうかと心配しながら周辺を探してみる。そうすると、丁度上部が平らな岩を見つけた。

「………………」

 二人が並んで眠れるぐらいの広さのその岩を目にしたヒヅキは、その何かで切断したかのような綺麗な切り口に眉を寄せて、過去視を発動させて確認してみる。すると。

(妙な歩き方しているように視えたから怪我でもしているのかと思ったが、そうでもないのか?)

 追っている幻影が、その岩の切断部分に手を振るっているのが確認出来た。しかし、振るった手には何も持っていない。

(……切断された岩の部分も何も視えない。思い出してみれば砦跡でも何も視えなかったから、もしかしたら生き物しか視えないのか? それとも制御出来ればどうにかなるとか? 考えてみれば今まで幻影は幾つも視たけれど、周囲は青白く光ってはなかったな)

 改めて周辺を過去視で確認したヒヅキは、青白く光る人物は確認出来るのに岩が光っていないのを視て、やはりと頷く。

 であれば、何かしら見落としているい可能性が在るが、それを今確かめる術はない。

 頭を振って思考を切り替えると、ヒヅキは寝床に適した場所に目を向ける。

(四人で座れなくはないが、かなり狭いな。ここはエインさんとプリスさんに使ってもらって、俺とフォルトゥナは道の方でいいか)

 そう考え、ヒヅキは防水布を岩の上に敷くと、そこにエイン達を座らせる。

『四人で座るには狭いから、私達はこのままでいいだろう』

『はい』

 ヒヅキはフォルトゥナにそう伝え、エイン達にはそこで寝る様に伝えてから夕食にする。エイン達も四人で座るには狭いのは理解出来るので、文句はなかった。それだけ疲れていたというのも在るのだろうが。

 それから夕食を摂り、話し合いを終わらせる。それが終わると、エイン達は寝る準備を始めた。

 ヒヅキ達はそんなエイン達の近くに居ながら、周囲を見回す。

『ふむ。何だかこの辺りは妙な感じがするね』

 周囲を見回したヒヅキは、首を傾げてフォルトゥナに声を掛ける。

『はい。この近くに密度の濃い魔力の溜まり場が在るようです』

『魔力の溜まり場?』

『はい。この先に在るようですが、あまり良い魔力の流れではありません。しかし、それ以上は今はまだ分かりません』

『そうか』

 フォルトゥナの言葉に、ヒヅキは顎に手を当てながら思案する。良くない魔力と言われても、ヒヅキにはピンとこない。魔力の視えるフォルトゥナと違って、ヒヅキにはそんなモノは視えないのだから。

 それでも、感じる事は出来る。ヒヅキは魔力に関しては人一倍敏感で、視る事が出来ない割にそれに準ずるほど。とはいえ少々距離が離れているのか、フォルトゥナの言葉を受けて意識を進行方向の先へと集中させて何とかそれっぽい感じを若干察知する事が出来たぐらい。

『・・・・・・ふーむ』

『何かお気づきになられたのですか?』

 その気配を感じて、ヒヅキはそれに覚えがあるような気がして僅かに首を傾げた。それに何処か期待するようにフォルトゥナが問い掛ける。

 フォルトゥナの言葉を聞きながら、ヒヅキは何処であの気配に接した事があったのだろうかと記憶を探っていく。そうして暫く沈黙が続いた後。

『あ』

 ヒヅキはやっと思い出す。あまりに気配が微かであったが為に思い出すのに時間が掛かってしまったが、それに行き着いたヒヅキは、心底面倒で嫌そうな表情を浮かべた。

『ど、どうかされましたか!?』

 そんなヒヅキの表情の変化に、フォルトゥナが焦ったような声を上げる。

 それを聞いてフォルトゥナの方へと視線を向けたヒヅキは、疲れたように言葉を返した。

『多分だが、あれは穢れの気配だよ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ