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人探し50

 険しい山道を進んでいく一行。エイン達に合わせている分、ヒヅキにとっては移動速度は遅いものの、それでも一般的な隊商や旅人の移動速度よりは速い。

 現在の速度で移動出来るのであれば、エインとプリスは冒険者と行動を共にしても足手まといにはならないだろう。それでも現在二人がお荷物状態になっているのは、単純に相手が悪かった。ヒヅキとフォルトゥナと共に旅が出来るのは、冒険者でも数名しか居ない。それも長期ともなれば、ほぼ居ないと言えた。

 ヒヅキはそれをはじめから理解しているし、約束したのはヒヅキ自身だ。なので、その事について特に思うところはない。むしろエイン達を気にかけながら進んでいるぐらい。

 問題はフォルトゥナの方。フォルトゥナはエイン達と交流があった訳でもないし、道中でも居ないものとして極力無視していた。それでも少人数で一緒に旅をしている以上、嫌でも目についてしまう。

 最初はヒヅキの命令だからと大人しくしていた。フォルトゥナにとってヒヅキの命令は絶対だし、従うのは喜びであったから。

 しかしそれでも、旅が続きエイン達の無能っぷりが目立ってくると、流石にフォルトゥナも色々と思うところが出てくる。かつてエルフの国に居た、無能のくせに偉そうな奴らの面影も重なる。

 ヒヅキの命令がある為に不機嫌そうにする程度で済ませてはいるも、本当は今すぐにでも八つ裂きにしてしまいたいほどの苛立ちを募らせていた。特に無駄な砦跡の探索は、とても癪に障った。

 移動中は、幻影を追っているヒヅキを先頭に移動しているので、安全の為に最後尾にフォルトゥナがついてきている。なので、必然的にエイン達を前にする事になる。

「………………」

 不機嫌そうにしながら歩くフォルトゥナ。フォルトゥナは遠話でヒヅキと会話するのみなので、エイン達と会話はしない。旅に出てからは、ほとんど声を出してもいなかった。

 そんなフォルトゥナの様子に気がついているヒヅキだが、どうすればいいのか分からない為に問題を先送りにしている。それでもそろそろ何かしらの手は打たなければなと考えるのだが、やはり答えは出てこない。確実な答えであろうエイン達の帰国は叶いそうもないのだから。

 ヒヅキは幻影を追いながら、頭の片隅で思案する。エイン達が同道している状態で、フォルトゥナの気が晴れるような方法を。

(……いや、何で俺がそんな事を気にしなければならないんだ?)

 一人旅の気楽さを思い出したヒヅキは、約束があろうとも勝手についてきている者達を何で気にかけているのだろうかと、自分の行動に疑問を抱く。

(ウィンディーネだけで勘弁願いたいのに、何で他の事まで気を回さなければならない? 過去視の制御ももう少し掛かりそうだし、移動速度への配慮だけで十分だろう。フォルトゥナに関しては警戒に使えるからまだ分かるが……そのフォルトゥナを宥める必要はあるのか?)

 小さく息を吐き出すと、ヒヅキは幻影に目を向ける。未だに対象以外の幻影も混ざっているが、それでも大分見分けがつくようになってきていた。

 この幻影を追うだけであればどれだけ楽か。スキアへの警戒も必要ではあるが、ヒヅキ一人でもそれは何とかなる。

 ヒヅキは余計な事は考えないようにしながら、夕方まで幻影を追い続けた。そうして夕方になった頃に、休息場所を探す。

 その行動も無駄だなとは思うも、ヒヅキは諦めて周囲に目を向ける。

 暫くして、天幕を張れそうな比較的平らな大岩を見つけ、そこで天幕を組み立てる。しかし、防水布を敷くような場所までは無かったので、今回は四人で天幕の中に入り夜を明かす事にした。

 四人は天幕内で夕食を済ませると、話し合いを行う。それが終わると、エイン達は就寝の準備に入った。

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