人探し46
ヒヅキの頼みを、フォルトゥナは嬉しそうに了承する。
了承したフォルトゥナは、更に追加で周辺のスキアの情報を提供していくが、先程のスキアが一番近いというだけで、その数は結構なもの。
フォルトゥナからの報告を聞きながら、ヒヅキはエイン達との話し合いを終わらせる。もうほとんど終わっていたので、そちらは直ぐに終わらせることが出来た。
話を終えてエイン達が毛布を用意して、その場で丸まるようにしながら毛布に包まるのを見届けると、ヒヅキはフォルトゥナの方に目を向ける。
『今教えてくれたスキア達は、今も同じ場所に?』
ヒヅキのその問いに、フォルトゥナは首を横に振る。
『いえ。先程半数は何処かへと離れていきました。残りの半数の半分は今も同じ場所に。残りの移動したスキアは、場所が変わっていないもう半分のスキアと合流して、何処かを攻めているようです』
『ふうん? そこは発見してからずっと攻められているという事だよね?』
『はい。そうです』
『という事は、そこがホーンの首都か、重要な防衛地点という事だろう……スキアが攻めてきた時期から考えればかなり持ちこたえた方だけれど、もしかしたらそこが最後の砦なのかな? 他にスキアが攻めている場所は在る?』
『いえ。感知可能な範囲では、そこのみとなっております。ただ、数体程度のスキアが何かを攻撃しているような場面は時折確認出来ますが』
『それはどれぐらいの間攻撃しているの?』
『一瞬で終了しております』
『なるほど』
スキアは動物は狩らないし、本来食事も必要としない。それでも人間やエルフなどの襲った相手を食べているのをヒヅキは確認している。それについてはよく分かっていないが、もしもそれに意味が在るならば、魔力でも補充しているのかもしれない。
『残党狩り、なのかな? まあいい。それよりも、そこには近づきたくないね。いつまで耐えられるかは分からないけれど』
わざわざ面倒事に首を突っ込む趣味はないヒヅキはそう言うも、それでも追っている幻影次第では近づかなければならない。現在対象の幻影は、フォルトゥナが教えてくれた方角とは違う方向に進んではいるも、先の道がどうなっているかまでは不明なので、何とも言えない。
追っている対象の目的が未だに見えてこないのでよく分からないが、可能性としては心臓の欠片探し。だがそうなると、結構な数を所持しているヒヅキの方に来ないというのも釈然としない話であった。
(誰かが所持していると駄目とか? 砦跡で水晶の欠片は見つけたけれど、追っている幻影はそこに近づいていなかったからな……うーむ。それに、あの水晶の欠片のところに居た幻影は一体何だったのやら)
周囲を警戒しながら、ヒヅキは思案していく。しかし、情報が無さ過ぎて答えは出ない。
こんなのばかりだなと小さく息を吐くと、ヒヅキは過去視の制御に集中していく。
そうして集中していると、フォルトゥナが声を掛けてくる。
『新しいスキアが増えたようです』
『攻めている場所に?』
『はい』
『そっか。という事は、もうこの辺に残っているのがそこだけという事なのかな?』
『可能性は高いかと。しかし、まだ数が少ないので、他にも残っている場所はあるかもしれません』
『なるほど』
エルフの国での出来事を思い出したのか、フォルトゥナは確認しているスキアの数からそう返した。
それにヒヅキは頷く。攻めてきているスキアの数も気になったが、ホーンの人口はそんなに多くはないらしいので、それで未だに耐えているのは十分な結果だろう。
『この近くには来ていないんだよね?』
『はい。こちらには用は無いようです』
『そっか。という事は、ここら辺に生き残りは居ないという事かな?』
『その可能性は高いと存じます』
『ふむ。なるほどね……まぁ、攻めていることが判れば十分な情報かな』
まだ可能性の段階だが、それでもかなり高い可能性。ただ、エルフの国でヒヅキが拠点とした町の様に、忘れられたように残っている場所も在るかもしれない。しかしそれは、フォルトゥナの感知から逃れられるほどの者達が集っていたらばの話になるが。
 




