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人探し43

 ヒヅキはスキアの移動速度について以前から疑問を抱いていたが、高速で移動している以外に答えが出ていない疑問であった。

(過去視がどこまで機能するのかは分からないが、過去視で移動が捉えられないという事は、可能性としてスキアは移動していないという事も考えられるのか……)

 移動していないといっても、位置が変わっているので、そういう意味では移動している。しかし、ヒヅキの考えている事は当然そういう意味ではなく、通常の足を使った移動をしていないという事。

(そうなると、スキアはもしかして転移魔法でも使えるという事なのだろうか……?)

 もしもそうであればかなりの脅威となるが、しかしそれではおかしいかと、ヒヅキはその考えを否定する。

(もしもそうであれば、わざわざ敵の少し手前に現れる必要がない。砦を落とすのだって中に転移すれば簡単に済む話。神の性格と言われればそれまでだが、たとえ暇つぶしであれ混乱を望むのであれば、そんな前例が1件も無いというのは逆に不自然な気がするのだが……ふむ)

 今まではスキアと遭遇するというのは、かなり稀な話であった。なので、そもそも前例がそれほど多くはない。しかしそれでも全くない訳ではないし、それに今の情勢はスキアの大侵攻に世界中が晒されている。

 ヒヅキが今まで調べた前例にはそういった話は全く出てこなかったし、現在でもスキアは律儀に砦へ外側から攻撃を加えて破壊しているという話しか耳にしない。であるからして、スキアが仮に転移魔法を使えるのだとしたら不自然だと、ヒヅキは考えた。

(ならば、あのスキアの移動は何なのだろうか? 単純に高速で移動している訳ではないのなら、不完全な転移? もしくは別のスキア、とか? いや、それはかなりの手間だろう)

 わざわざスキアを配置し直しているという可能性を考え、ヒヅキはそれは流石にないかと考え直す。

(単純に移動速度が途轍もなく速いという可能性もあるが、スキアではなく過去視の機能の方に問題がある可能性も………………可能性を挙げればきりがないな)

 色々と頭に可能性が浮かび、ヒヅキは密かにため息を吐く。下手の考え休むに似たりというやつなのかもしれない。

 そもそも答えが分かったところで、対処の方法は変わらないのだ。考えるだけ無駄とまでは言わないが、あまり意味はないだろう。

 ヒヅキは頭を切り替えると、もう一度周囲を見渡した後に目を瞑った。

 それから集中して過去視の制御に取り掛かる。静かな世界なので集中出来るも、人間にとって荒れ狂う暴風の如く凶悪な魔法の手綱を握るというのは、至難の業。いや、本来は不可能な事だ。

 不完全とはいえ、それを成しているヒヅキはただそれだけで称えられるべきほどではあるが、ヒヅキはそんな事は知らないし興味もない。必要なのは過去視で可能な事を自分の意思でもって扱えること。

(光の剣に魔砲。それに加えて過去視と、どれもこれも強大過ぎる。修得するにしても、俺の魔力量を考慮すると明らかにおかしい魔法だ)

 ヒヅキは光の剣と魔砲を完全に制御しているようでいて、実際は出力を弱めたうえで使用しているに過ぎない。それでも威力は絶大で、魔砲に至っては全力で放てば一国の首都を亡ぼせるほど。もしも出力を弱める必要がなければどれほどの威力なのか、想像しただけで恐ろしい。

 過去視も規模を縮小した状態で何とか行使出来ている。それでもまだ制御しきれないのだから、魔砲以上に厄介な魔法であった。

 それでも、何とか周辺の少し前の出来事は視えるので、十分と言えば十分。ヒヅキもあまり大仰な効果は望んではおらず、現在視えている範囲よりも狭くても構わないから、指定した時間やモノを視たいだけであった。……それでも十分高望みなのだが、ヒヅキはそれを承知のうえで制御を行っている。ヒヅキにはそれ程までして視たいモノが2つ存在しているのだから。

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