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人探し42

 とりあえずホーン側の国境砦に到着したので、夕方になるまでは付近を探索する事にした。

 エインとプリスは周辺を探り、フォルトゥナには二人を気にかけてもらいつつ、ヒヅキと共に天幕を張れそうな場所を探していく。

 天幕を張れそうな場所といっても、砦跡内は整備された場所なので、瓦礫を除ければどこででも天幕が張れる。今回探しているのは、その手間が少なくて済む場所。

 ホーン側の砦跡は飛散している瓦礫の範囲が広く、地面が露出している場所が少ない。その分堆積している瓦礫の量は少ないのだが、それでも瓦礫をどかすのは一苦労。

 ヒヅキ達は防壁から少し離れた場所の建物址が少ない場所に天幕を張ることにする。場所を決めると、二人はさっさと瓦礫除去の作業に入る。

 近くにエインとプリスは居ないので、ヒヅキ達は目的の場所から少し離れ、その場所からフォルトゥナが魔法を行使していく。

 行使した魔法は風の魔法で、空気を圧縮してその場に空気の塊を作る。それは主に隔離する為の壁や盾に使われる魔法。

 その魔法を行使して、目的の場所に在った瓦礫を強引に押し出す。念の為に少し広めに瓦礫を押し出し、押し出された瓦礫が多少戻ってきても問題ないようにしておく。

 瓦礫の撤去が直ぐに完了すると、一度確認して撤去しきれなかった小さな瓦礫をどかす。

 その後に天幕を張り、近くに防水布を敷く。それが完了した頃には日が暮れる直前で、エイン達も探索を終えて合流しようと向かってきている最中であった。

 四人は合流すると、夕食を食べる。暗いとエイン達は見えないので、角灯に火を灯して中央に置いた。この角灯は、この後そのままエイン達が天幕内に持っていく。

 夕食を終えると、話し合いを行う。エイン達の報告では、先程探索した結果は思わしく無い様で、大したものはなかったらしい。

 なので、エインがもう少しここでも探索がしたいと提案したのだが、それで我慢の限界に達したのか、フォルトゥナが「その無駄な探索のせいで予定が大幅に遅れていると理解出来ないのか? ただでさえ足手まといなのに、これ以上邪魔をするならガーデンに帰れ」 と、即座に却下した。

 エインも自分達がお荷物だという自覚はあったのだろう。フォルトゥナの言葉に、何か言いたげながらも申し訳なさそうな表情で「すまない」 とひと言詫びて黙った。

 それから少し話をし、このままホーンへと歩みを進めていく事で決まる。探索は道すがら気になるモノがあった場合のみ行うという事になった。

 話し合いが終わり、エイン達は角灯をもって天幕内に入る。普段は自分達で持って来た物を使っているが、今回は折角火を点けたのだからと、そのまま使用する。燃料の油は元々それなりに用意していたが、砦跡の探索で潤沢になったので問題はない。そもそも、念のためにと用意はしていても、ヒヅキとフォルトゥナには不要な物であった。

 二人が角灯を持っていったことで暗くなるが、ヒヅキ達にとっては問題ない。天幕越しに僅かに光が漏れているが、それが無くとも二人は夜目が利く。

 いつも通りにフォルトゥナが周辺警戒を行い、ヒヅキは過去視の制御に集中する。

 現在居る砦跡を過去視で視ると、カーディニア王国側の砦跡に居た者達と思われる幻影の他に、スキアっぽい幻影が視えた。

 カーディニア王国側の砦跡ではスキアっぽい幻影は確認出来なかったので、この先までは行っていないのか、それとも一瞬で移動するスキアを過去視では捉えられないだけか。

「………………」

 そう疑問に思い周辺の様子を視てみれば、確かにスキアの幻影は確認出来るが、移動している幻影は確認出来ない。という事は、スキアの移動は捉える事が出来ないという事になる。

(いや、そもそもスキアは本当に普通に高速で移動しているだけなのだろうか?)

 スキアの移動について考えたところで、そんな考えが浮かぶ。思い返してみると、ただ高速で移動しているだけにしてはあまりにも一瞬で距離を詰めてきている。ヒヅキ自身やフォルトゥナの移動速度を参考に考えてみても、それはどう考えてもおかしな移動速度であった。

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