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人探し37

 過去視を制御する為に起動させると、赤々と燃える火の中に幻影が現れる。それを視たヒヅキは、そっとまぶたを閉じた。

 誰かは知らないが何処にでも出てくるなと思いながら、現在ヒヅキが視る事が出来る時間の範囲内でこの砦跡を調べていた者達について少し思案する。

 しかし、幻影は曖昧な姿でしか視えないので、判断するにも情報が少ない。砦跡内を歩き回っては何かを拾うような様子があるので、何かを探しているのは間違いないのだろうが。

 そこまで考えたところで、同一人物かどうかも確実ではない為にそれ以上は考えてもしょうがないと思い、ヒヅキは過去視の制御に集中していく。

 ヒヅキはパチパチという木が燃えている音を聞きながら、火が弱くなってきたら薪を入れる。

 そうして火を維持しながら夜を明かすと、周囲が少し明るくなってきた辺りでエインが目を覚ました。

 まだ眠そうにしながらも起きたエインと朝の挨拶を交わすと、ヒヅキは朝食の為に二人分の保存食を背嚢から取り出し、容器に魔力水を注ぐ。

 用意したエインの分の保存食と魔力水を渡すと、礼を言ってエインはそれを受け取った。

 ヒヅキが水瓶を持っているが、フォルトゥナ達は各自水筒に魔力水を入れているので、1日2日ぐらいであれば問題ない。料理に使う分の水は基本的に大甕に溜めた水だし、出発前にヒヅキは大甕の中の様子をしっかりと確認していたので問題はないだろう。

 朝食を手早く終えると、エインは直ぐに探索を行う。周囲も明るくなっているので、光球は不要。

 ヒヅキは容器を仕舞ったり寝袋を畳んだりと直ぐに発てるように片付けを済ませると、火の始末もしておく。

 拠点に戻る道のりを考えると昼頃には戻らなければならないので、昼食は摂らないだろう。摂るにしても移動しながらになるので、ヒヅキはそうして出発の準備だけは事前に済ませておくと、残った燃料を運びやすいように紐で結んだり、おがくずなどの細かい物を拾った袋に入れたりして纏める。

 程なくして一通り片付けと準備を終えると、ヒヅキも探索を行う。

 前日同様に瓦礫をどかして山を崩していき、その中に在るモノを発掘していく。

 瓦礫の山から見つかるモノは、燃料や小物類がほとんどだが、中には書類っぽい紙や本の残骸。元は机や椅子だったのか細工の入った木片や、人骨がちらほら。武器や防具も見つかるには見つかるが、使えそうな物は皆無。というよりも、ただの鉄くずと大差ない。

 どれもこれもヒヅキには興味が無く、燃料も十分量が拠点には在るので必要ではない。探索も後1ヵ所で終わるので、むしろ過剰に集めているほど。

 そんな面白みのない発掘作業だが、過去視を発動させればそこには何かを探している幻影が居るので、放置も出来ないだろう。

 エインは変わらず山を崩しながら何かを探している。ヒヅキはそのエインが探した後も確認してみるが、発掘したモノはヒヅキが調べている場所とあまり変わらないようだ。

 それからも黙々と発掘作業を続け、昼になった頃にヒヅキは戻る為にエインに声を掛ける。

 声を掛けられたエインは、名残惜しそうな顔をしつつも、ヒヅキと共にその場を離れていく。

 帰りも休憩する事なく歩いていき、日が暮れた頃に拠点に辿り着いた。

 拠点では、片付けを終えたフォルトゥナとプリスが夕食を前に待機している。

 ヒヅキ達が発つ前はまだ在った塊根も、今はほとんど無い。乾燥させている塊根は天幕の中にまだ在るようだが。

 燃料はまだまだ在るようだが、これから使用量は激減すると思われるので、使い切れないほどの量だろう。後は乾かしている塊根が完全に乾けばここにはもう用は無い。それもエインの探索が終わる頃には乾燥しているだろう。

 ヒヅキはフォルトゥナ達と夕食を食べながら空に目を向け、明日も晴れそうだと小さく頷く。

 夕食を食べ終わり、話し合いを行う。そこで保存食作りがほぼ終わった事をプリスが説明した。やはり後は乾燥させている塊根が乾けば完了のようだ。

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