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人探し31

 それから少しして夕食を終えると、話し合いに移る。

 それぞれの成果を報告し合い、明日の予定を決めていく。

 竈を増設したことで保存食作りの方はかなり進んだようで、幾つか在った塊根の山は、あとひとつしかない。それも大分低くなっているので、加工するだけであればあと2、3日もあれば余裕で終わるだろう。問題は乾燥の方だが。

「………………うーん」

 ヒヅキは夜空を見上げて小さく唸る。

 見上げた先の空には少しずつ雲が出てきており、星の光を消していっている。欠けた月の光も滲むようになっており、夜半から雨が降りそうな感じであった。そうなると、調理もまた難しい。

 雨の中の探索も大変になるだけなので、雨の日は天幕内で過ごす事になるだろう。急ぎの旅ではないとはいえ、全く先へ進めていないというのは色々と思うところがある。

 ヒヅキはそれに少し苛立ちを覚えながらも、しょうがないかと心を落ち着ける。

 雨の日の行動についても話、その日の話し合いは終わった。

 話し合いを終えると、片付けを済ませてから、雨が降るかもしれないので防水布も仕舞って四人で天幕に入る。

 ヒヅキとフォルトゥナは周辺警戒をしながら、天幕の入り口近くの隅の方で並んで腰掛ける。エインとプリスは奥の方で寝る準備を行う。

 それが済んで軽く話をしていると、天幕を叩く雨音が響いてきた。

 もう時間も遅いので、エインとプリスは寝る事にする。ヒヅキはその間に過去視の制御を行っていく。

 フォルトゥナの横で目を瞑りながら過去視の制御に努めるが、これがなかなか上手くいっていない。目を瞑りながらなのは集中する為というのもあるが、一番は過去視を制御する為には過去視を発動させる必要があるので、天幕内であろうとも過去視の効果範囲内に誰か居た事があった場合はそれが視えてしまうというのが大きい。

 現在も目を開けてしまうと、天幕の内外を行ったり来たりする幻影が視えてしまう。

 それに慣れる必要があるのだが、ずっと同じ幻影を視続けるというのも、飽きるし疲れるのだ。

 過去視で視える幻影は、動くわけではない。相手の行動が連続した静止画として視えるだけ。それも現状ではその静止画の輪郭すら滲んで視えているので、その場に留まっていたり移動が遅いと繋がって視える時もあるほど。

 過去視というのは便利ではあるが扱いが難しい。ヒヅキは未来視もこんな感じなのだろうかと、性質としては反対ながらも同系統の魔法について思いを馳せる。

 過去視同様に非常に使い手の少ないその魔法だが、もしも何処かに使い手が居るのだとしたら話を聞いてみたいなと少し思った。

 そうして夜が明けていく。

 朝になっても雨は降り続けている。雨脚は強くないが、それでも遠くが見えないぐらいには降っているので外で火は熾せないだろうし、屋根の無い建物内を探索するのも一苦労だ。

 それを確認したところで、当初の予定通りに今日は大人しく天幕内で過ごす事にする。食料は作った保存食が結構あるので問題ない。

 今日は何も出来ないので、いつもより量を少なめで朝食を摂る。

 ヒヅキとフォルトゥナは、引き続き天幕の隅で周辺の警戒をする。とはいえ、どちらかと言えばヒヅキは過去視の制御に集中するのだが。

 雨音を聞きながらのんびりとした時間が過ぎていく。

 エイン達は探索した結果について話しているが、ヒヅキには興味の無い話。

 フォルトゥナは黙ってヒヅキの隣に腰掛けて周辺の警戒をしている。ウィンディーネは姿を消した状態で天幕の外にいるようだが、何をしているのかまではヒヅキには分からない。

 昼になると、雨が止む。

 とはいえ、雨が上がったばかりなので、外で炊事は難しいだろう。もう昼なので、探索も時間的に厳しい。という事で、今日は天幕内で過ごす事に決める。

 そのまま天幕内で過ごし夜になり、四人は天幕の中で夜を明かした。

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