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人探し30

 めぼしいものも無かったので、ヒヅキは近くの石に腰掛け、まだ何かを探しているエインを視界に捉えた後、周辺には脅威になりそうな存在は居なさそうなので、警戒を少しだけ緩めて過去視を使って周囲を見回してみる。

 スキアの襲撃でこの砦が破壊されたのはもう大分昔の事なので、現在のヒヅキの眼では当時の様子は視えない。しかし、そこにはいくつかの幻影が居た。

「………………」

 ヒヅキは石に座りながら、その幻影達の様子を観察する。

 幻影達は、エイン同様に何かを探すように瓦礫を除けたりしながら砦内を練り歩いている様に視える。時折何かを拾うような動作をしているが、最近やっと幻影の輪郭がややはっきりしてきたばかりなので、何を拾っているのかまでは判らなかった。

 それでも、大小様々な物を拾っている様子が窺えた。中には拾ったはいいが目的のモノではなかったのか、そこら辺に捨てている様な動作をしているのが見て取れた。

 そんな一行の幻影に混じる様にして、捜索対象と思しき幻影が確認出来る。時間軸が異なると思うので、何かを探している一行とは遭遇してはいないだろう。2つの異なる時間の幻影を見比べてみると、時間の違いで幻影の色の濃さが違うのが分かったので、ヒヅキはそう推測した。

(それにしても……)

 ヒヅキはカーディニア王国側に顔を向けた後、ホーン側に顔を向ける。

 捜索対象の幻影はカーディニア王国側から一人でやってきてホーン側に進んでいるが、何かを探している幻影達は、ホーン側からやってきてホーン側に戻っていっていた。

(これはホーン側の者達なのだろうか?)

 それを確認したヒヅキはそう考えつつも、その一行が何処の組織に属しているかによって話は変わってくる。

 ホーン国側であれば単なる調査や視察だろうが、もしも他の所属の者達であれば、それは何の為かという目的の部分が不明瞭になってくる。それにホーン側から来ているだけで、それがホーン国に住む者かも分からない。

(もう少し過去視の制御が出来ていればな)

 そう思わずにはいられないが、出来ないものはしょうがない。それに出来たからといって特定出来たとは限らないだろう。

(まぁ何であれ、現在機能している組織なのかはまた別の話が。これからホーンに入って目的の人物を探すが、面倒事にならなければいいが……神に目をつけられている時点でこれ以上にないほどの面倒事か)

 ヒヅキは自分の現在の状況を思い出して、思わず苦笑してしまう。神相手では、人間程度は可愛らしいものだろう。まぁ、陰湿さでは勝るかもしれないが。それも、スキアという分かりやすい暴威でねじ伏せられてはたまったものではない。

 そんな事を思い、ヒヅキが鬱々とした気分になりかけていると、エインが何やら見つけたようで、手元で拾った物についている砂を払っている。

 その様子を見た後にヒヅキは空へと目を向けると、そこには暗くなってきている空が拡がっていた。時間的には前日より少し遅いぐらいか。

 ヒヅキはエインに声を掛けると、拠点に戻る事にした。

 拠点に戻る道中は、過去視を止めて周囲の警戒に集中する。しかし、敵どころか生き物も発見できない。建物が壊れているのでそこそこ見晴らしはいいが、腰元辺りまで壁が残っている建物も在るので、油断は出来ない。

 それでも、感知魔法と気配察知で常に周辺の様子は窺っているので、脅威がないのは確認済みである。そのまま何事もなく、日暮れ前には二人は拠点に到着する。

 ヒヅキ達が拠点に到着した時には、既に片付けと夕食の準備を終えたフォルトゥナ達が、夕食を並べて二人の到着を待っている状態であった。

 今回は燃料を持ってきていないので早々に汚れを落としたら、直ぐにヒヅキとエインの二人も用意されていた夕食を囲むようにして腰を下ろした。

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