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人探し29

 過去視の制御に集中する事で、周囲の事が意識の外に出ていく。

 そんなヒヅキへと、ウィンディーネはにんまりとでも表現すればいいのか、とても嫌らしい笑みを浮かべた。

 しかし、そんな笑みを浮かべたウィンディーネに、反対側から冷たく刺さるよな視線が向けられる。

 その視線に対して、ウィンディーネは冷笑を返す。

 両者の間に不穏な空気が漂うも、間にヒヅキを挟んでいるからか、はたまた単にウィンディーネが真面目に相手をする気が無かったからか、そんな不穏な空気も直ぐに霧散した。

 とはいえ、ヒヅキを挟んでウィンディーネの反対側に座っているフォルトゥナからは、依然として警戒と殺意の籠った物騒な視線が向けられている。

 しかし、ウィンディーネはその苛烈な視線を、何処吹く風とばかりに受け流す。興味が無いというよりも、相手にする気がないといった感じ。

 その代りという訳ではないが、専らウィンディーネの興味はヒヅキに向けられている。といってもそこに甘い雰囲気は一切なく、何処までいっても、ウィンディーネにとってヒヅキは観察対象であり、おもちゃでしかない。

 ヒヅキ本人にとっては災難以外の何物でもないのだが、興味を向けられない他の者にとっては、それは救いであった。

 そんな妙な空間の中でも、ヒヅキは集中を切らさない。

 ウィンディーネはヒヅキの真横でにまにまと嫌らしい笑みを口元に浮かべながら、冷酷な光を瞳の奥に宿している。

 フォルトゥナはひたすらにそんなウィンディーネを警戒しつつも、同時に彼我の戦力差も理解出来ているので、おかしな事までは起こさない。

 そうして夜が更けていくと、明け方前にウィンディーネは姿を消した。

 ウィンディーネが姿を消して少しすると、天幕の中からエイン達が起きてくる。

 エイン達が起きてきたところで、ヒヅキは意識を戻す。

 その後全員で朝食の準備を行い、朝食を済ませる。

 朝食の後は保存食を天幕から出したり、必要な物を確認したりと準備を行い、それが終わると、それぞれがそれぞれの仕事に移っていく。

 ヒヅキは前日に引き続きエインと共に砦内の探索を行っていくが、今日はエインの案内で前日とは違った方角を目指す。

 前日とは違った方角ではあるが、周囲は同じ造りの建物址が整然と立ち並び、その間を整備された道が通っているという大差ない風景が広がっている。

 そんな場所を、迷いの無い足取りで進むエイン。

 そうして進みながら、途中途中で建物址の中に入って何かないかと物色する。その足取りはやはり迷いがなく、最初から何処を探すか決めていたのが窺える。以前にこの砦に居たというのだから、それはおかしな事ではないが。

 そのまま昼まで探索を行うと、昼休憩を取る。

 水瓶から魔力水を出して手を洗うと、適当な場所に腰掛けて持ってきた保存食を二人は食べていく。

 軽く会話を交わすも、エインがこの砦に居た時の話を少ししたぐらいだ。

 そんな昼休憩を終えると、探索を再開させる。

 探索を再開させて暫く砦跡を進むと、少し大きめの建物址に到着した。

 エインはその建物址の中に入ると、積み上がっている瓦礫に気をつけながら、慎重に奥へと進んでいく。

 ヒヅキは周囲を見回しつつ、エインの後をついて行く。

 瓦礫の量は多いが、建物の大きさを考えればおかしな事ではないのだろう。それに階段跡の様なものも見られるので、おそらく2階建て以上だったのだろうし。

 そんな事を思いながらエインの後をついて行き、程なくして周囲を探索し始めたエインに意識を向けつつ、ヒヅキも周辺の探索を始める。

 しかし、エインが調べている近くにはめぼしい物はないようで、見つけるのは装飾品や筆記用具などの小物類ばかり。たまに文字が見えなくなった紙や損傷の激しい武具なんかもあるが、ヒヅキが見る限り使えそうな物はなさそうであった。

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