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人探し23

 塊根の収穫を終えると、そのまま野営の準備を行う。思いの外集中していたようで、気がつけば夕方前であった。昼食を忘れていたが、問題はない。

 野営の準備を終えると、夕食の準備に取り掛かる。今回は収穫したばかりの塊根があるので、それの調理だ。

 まずは魔力水でその塊根を綺麗に洗うのだが、水瓶をフォルトゥナに預けて、その作業はエイン達含めた三人任せる。

 三人に調理の準備を任せている間に、ヒヅキは周辺の建物址から燃料になりそうな薪や干し草などを集めてくる。

 ヒヅキが燃料を集めている間に塊根を洗う作業が終わったようで、エイン達はそのまま周辺に散乱している石を使って簡易的な竈を組んでいた。

 そこにヒヅキが持ってきた燃料を入れて、背嚢から取り出した発火具を使用して火を熾す。

 それが済むと、持ってきていた小鍋を用意してそれに魔力水を注いでく。

 その様子を横目に、ヒヅキは追加の燃料を取りに向かう。

 ヒヅキが何往復かして朝食分の燃料まで確保した頃には、防水布の上に茹でた塊根が木皿に乗せられ並べられていた。

 フォルトゥナに手伝ってもらい手を洗った後、ヒヅキはフォルトゥナから水瓶を受け取り、四人で茹でた塊根を囲んで夕食にしていく。

 元々が単なる土の塊のような見た目の塊根であったが、洗って茹でると、明るい赤みを帯びていた。

 形は様々で、縦に長い物もあれば、丸い物もある。歪な形の物も多いが、味はどれもやや甘く、大して変わりはない。茹でたおかげで柔らかくなったので、食べるのに全く支障はなかった。

 そうして用意した分を食べ終えると、そのまま話し合いを行う。

「さて、食料は何とかなりそうですが、これは毎回調理しないと食べられないのですか?」

「茹でた後に小さく切って、それを天日干しして乾燥させれば保存食になります。それでしたら、そのまま食べる事も可能です」

「それは直ぐに作れますか?」

「天日干しをする為の道具は直ぐに作れますから、晴れた日でしたら。それでも1日は必要ですが」

「では、明日晴れたら保存食作りをしましょう」

「承知しました」

 そう言ってプリスが頭を下げるように頷いたところで、話し合いは終わった。

 話し合いを終えると、エイン達は天幕の中に入って寝る準備を行う。

 ヒヅキ達は変わらず天幕そばに敷いている防水布の上で並んで座り、周辺警戒を行っている。とはいえ、周辺警戒は主にフォルトゥナに任せて、ヒヅキは過去視の制御に集中しているのだが。

 そうして夜を明かすと、翌朝も収穫して置いていた塊根を調理していく。

 いい天気だったので、朝食を終えると、プリスが収穫していた分の塊根を調理して保存食を作っていく。

 その傍らで、ヒヅキ達は天日干しをする為の道具を作ったり、追加で収穫を行う。

 砦跡にある畑は広大で、野生化した植物は元々植えられていた区画の外にまでその勢力を伸ばしている。

 つまりは大量に食料が在るという訳だが、1日で作れる保存食の量も限られているので、あまり採り過ぎないように気をつけていく。

(もう1日、いやここで何日か保存食作りに専念した方がいいのだろうか?)

 塊根を収穫しながら、ヒヅキは畑を見渡してそう考える。現在の手持ちの食料はそこまで多くはないので、補充出来る時にしとかなければ、直ぐに困った事態に陥るだろう。

 そう判断したところで丁度昼になったので、ヒヅキは区切りがいいところで収穫の手を止めると、昼休憩にする旨を皆に伝える。

 昼食は保存食作りがてら茹でた塊根。それを食べながら、ヒヅキはしばらくここに留まって保存食作りをしようかと思っている事を皆に話す。

 それに全員の同意を得た事で、しばらくは幻影の追跡を休んで、このまま保存食作りに集中する事になった。

 今後の予定が決まったところで、昼食を終える。

 片付けを済ませて、再度各々の作業に戻っていく。

 しばらく保存食作りをする事になったので、収穫量が休む前よりもやや増えたが、ヒヅキはそれを途中で終えると、燃料の収集の為に周辺の建物へと足を向けた。

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