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人探し19

 夕食の準備を終えて、四人で夕食を食べる。

 現在のところ、周辺にスキアを含めて脅威になりそうな存在は感知できていない。ヒヅキは念の為にフォルトゥナに問い掛けたが、フォルトゥナからも近くに脅威はないという返答があった。

 少し切れ目を入れた木の実を噛み砕き、その苦みを堪能しながらヒヅキは思考する。単に遠くのスキアの影響であればいいのだが、まだ国境までは大分離れているので、他の可能性もあるだろう。しかし、思い当たる節はない。

(考え過ぎか)

 少々難しく考え過ぎだなと思い直すと、ヒヅキはもう少し簡単に考えることにする。

(以前ここをスキアが通った時に怯えて逃げたままなのだろう)

 スキアは基本的に動物を襲わない。それは神の意思なのだろうが、そうすると何故動物は襲わないのか……。

(いや、単に簡単に殺せるからだろう。変な横道は止めておこう)

 ヒヅキは思考を切り替えようと残りの木の実を一気に噛み砕くと、魔力水でそれを流し込む。

 そうして夕食を終えると、もう1杯魔力水を飲み、その後に水筒にも魔力水を補充していく。

 補充を終えると、容器を仕舞う。そこまで終えても、エイン達はまだ夕食を食べているが、それはいつもの事だ。数える程度の木の実しか食さないヒヅキ達と、小さな硬いパン1つと汁物、たまにもう1品程度の簡単な食事のエイン達では、食べる速度が異なるのは自然だ。

 食べる物が違うのでヒヅキは気にせず、そのままエイン達が食べ終わるまで過去視の制御を行う事にする。

 フォルトゥナもヒヅキが気にしていないので、半ば居ないものとしてエイン達には意識を向けない。

 それから少しして、エイン達も夕食を終える。

 夕食後は、あまり意味を成していない話し合いを行う。その際にたまに進む速度について問題ないかなどの確認も行っているので、無駄という訳ではないだろうが。

 話し合いを終えると、エイン達は寝る準備を行う。外はまだ少しぬかるんでいるので、ヒヅキ達は今日もこのまま天幕の中で夜を明かす予定。

 そのまま昨夜と同じように時間を過ごすと、翌朝も同じように過ごす。

 そんな平和な日々を更に10日ほど送っただろうか。幾つかの砦跡を通り、北東を目指す。砦跡を通るたびに、エインは複雑な表情を浮かべていた。

 幻影を追って平原を越えると、荒地が増えてくる。そこまで来るとキャトルとの国境も大分近くなるのだが、そこで突然幻影は進路を西に取る。

 ヒヅキは幻影を追って西に進むと、次第に周囲は岩場に変わってきた。遠くには峻厳な山々が聳え、道を塞いでいる。

 幾日も掛けて西へと進んでいると、幻影は北を目指して進んでいく。

 そのままその幻影を追って進んでいくと、道を塞ぐようにして築かれていたであろう大きな砦跡が遠くに見えてきた。

「………………」

 その砦跡に近づくにつれ、エインの雰囲気が何処か口惜しげな暗い感じに変わる。

 それに気がついたヒヅキが天上に視線を向けると、そこには暗くなり始めた空が広がっていた。

 ヒヅキは足を止めると、そのまま野営の準備を行うことにする。

 周囲には岩場が多いので天幕を張るのも一苦労だが、そこはフォルトゥナが魔法で天幕を張る分の表面を削り平らにしてみせたので、問題はなかった。

 協力して天幕を張ると、手慣れたもので直ぐに終わる。

 その天幕の近くに防水布を敷くと、ヒヅキ達はそこに腰掛けて夕食の準備を行っていく。

(そろそろ食料を調達したいところだが……)

 エイン達の食料がもう無くなり、現在は木の実を四人で分けて食べている状況に、ヒヅキはそう考える。

 フォルトゥナの空間収納があるので、木の実は山で見つけた時に大量に調達していた。なのでまだ在庫はあるが、それも四人では数日分ぐらいだろう。

 水に関しては問題ないが、それではヒヅキ達は問題なくとも、食料が尽きればエイン達が困るので、さてどうしたものかとヒヅキは思うのだが、周囲は実りの乏しそうな風景なので、困ったものであった。

(せめてあの砦跡に何かあればいいのだが)

 そう思うも、その砦が陥落したのは数年前であろうから、それもまた望み薄であった。

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