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人探し6

 それを感じつつも、ウィンディーネは神の意思というものについて思案する。

 ウィンディーネにも正確な事はわからないが、ヒヅキに対して何かをさせようとしているのだけは分かった。

「ふふふ」

 ヒヅキの事をからかいながら、ウィンディーネは自分に何かをさせようとしている神に再度苛立ちが湧いてくる。

 ウィンディーネは束縛を嫌う。それでもやるべき事は在るのだが、ウィンディーネのそれは極端に少ない。

 現在のウィンディーネが司っているのは水のみ。それもウィンディーネのみが司っている訳ではないので、実質やる事はない。

 ウィンディーネは水を司る神々の中でも最高位であるにもかかわらず、もっとも怠惰な存在でもあった。

 それだというのに水以外にも高い適性を持っているので、もしも今の創造神が討たれた場合、もっともその席に近い存在でもある。それほどの実力者だというのにヒヅキの中のモノには勝てないのだから、いかに底知れないモノがヒヅキの中に潜んでいるのかが分かる。

 その力について解明したいウィンディーネだが、外から観察するだけではなく、ヒヅキの中に魔力を通してまで調べたというのに、結局分からなかった。

 だからこそ、そんなモノを平然と内に入れている器の方にも興味が湧くというもの。

 ウィンディーネはヒヅキをからかいながら、観察を行う。今までの内を見透かそうとするだけではなく、器を見定めるような目。

 そんなウィンディーネの変化に気づいてか、ヒヅキはより迷惑そうな表情を浮かべる。

 その思いを伝えるためか、わざわざ分かりやすく浮かべるヒヅキを見て、ウィンディーネはより楽しそうに笑みを深めた。

 迷惑そうな表情をウィンディーネに向けながらヒヅキは夜を明かす。

 翌朝もまだ薄暗い内に起きてきたエイン達と、前日と同じ内容の朝食を食べると、移動を開始する。

 ヒヅキは周辺を警戒しながら森の中を進む。周囲には人間の反応は無い。勿論スキアの反応もないが、それでも警戒は怠らない。

 虫や鳥の鳴き声は季節のせいか聞こえてこないが、それが不気味に思えるのは、スキアの襲撃を警戒しているからだろうか。

 たまに太陽が雲に隠れるぐらいの雲量の中で森を進むと、昼に一度休憩を取る。それも昼食込みで3、40分程度の短い休憩で、直ぐに移動を再開させた。

 夕方になった頃に森の終わりが見えてくる。それでも無理に進む事はせずに、大人しく野営を行う。終わりが見えてきたと言ってもまだ少しあるので、森を抜けようと思えば日が暮れる。

 さっさと準備をして夕食を摂ると、話し合いを行いエイン達は睡眠をとる。

「………………」

 見張り番のヒヅキは、使い慣れた気配察知だけではなく、感知魔法の修練も同時に行っていく。日中も修練を欠かしていないので、大分感知範囲も拡がり、今では1キロメートル近い範囲を細かく感知できるようになっていた。それもこれも途中でやっとコツを掴んだからなのだが、また直ぐに伸び悩んでいた。原因は得られる情報の膨大さ。

 あまりにも細かく周辺の情報を得ることが出来る為に、今以上に範囲を拡げると、それを処理する能力の方が追い付いつかない状況であった。

 慣れればもう少し範囲を拡大できるだろうが、それでも限界がある。なので、現在はどういった情報を取得してどういった情報を取得しないかの選択が行えるようにする修練に重点的を置いている。

 それについては感知魔法よりは適性が在るのか、遅い歩みながらも着実に情報の取捨選択を行えるようになってきていた。

 その進展した感知魔法で改めてウィンディーネを徹底的に調べたヒヅキは、思わず舌打ちしそうになる。というのも、強大な存在だという以外に何も判らなかったから。

 しかしそれも当然の話で、ヒヅキとウィンディーネの間にはかなりの実力差がある為に、ウィンディーネがヒヅキの感知を妨害してしまっているだけなのだから。

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