表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
683/1509

人探し4

 そんな事があったものの、その後はウィンディーネは周辺を警戒しているヒヅキの隣に座り、観察するようにヒヅキに目を向ける。

 しかし何か話す訳でもないので、ヒヅキとしては気味が悪くてしょうがなかった。

 幸いにしてと言うべきか、もう空の端が白んできていた時間であったので、そんな状況は長くは続かない。

 太陽が地平線に顔を出したぐらいの時間に、ヒヅキは眠っているエイン達を起こすと、朝食にする。

 昨夜収穫した果実と魔力水で朝食を摂ると、さっさと片付けを済ませて出発した。

 前回同様の道を通って森の中を進む。

 今回は人数が多い、というよりエイン達に合わせて進む為に移動速度は遅い。

 しかし遅いといっても、それはヒヅキ達の基準で計ればである。一般人の基準で測れば、二人の移動速度は十分過ぎるほど速く、流石に鍛えているだけあり冒険者と比べても遜色はない。ただ、やや持久力が足りない様ではあるが。

 その為、休憩を挿みつつ1日8時間から10時間程度進んで、40から60キロメートルぐらいを進んでいた。それは森の中でも変わらないので、エイン達としては付いていくだけでも大変であったが、それでも余裕がない訳ではない。荷物はほとんどヒヅキとフォルトゥナが持っているので、エインとプリスは軽装備であったのだから。

 そうして、エインとプリスが疲れすぎないように気を配りながら、ヒヅキは目的の遺跡を目指して進んでいく。

 それでもヒヅキにとっては、無理のないように適度に力を抜いている普段の半分程度の移動速度と10数倍の休憩時間なので、かなり余裕があった。

 そして、それはフォルトゥナも同じ。いや、フォルトゥナにとっては、普段のヒヅキの移動ですら軽い運動程度でしかないのだが。

 ウィンディーネの場合は、そもそも疲れが無いので、比べる時点で間違っている。

 そうして五人は森の中を粛々と進み、夕方ぐらいに野営の準備を行う。

 一応天幕は用意しているのだが、ここの森の中は近すぎず離れ過ぎずという絶妙な間隔で木々が生えているので、それが邪魔をして張る事が出来ない。それ以前に、木の根が嫌がらせの様に地面から姿を見せているので、天幕を張るには適していないのだが。

 太めの木の根を探して、その上に防水布を敷く。その上にエイン達を座らせると、凸凹して座りにくい場所には、夕食の準備を済ませたヒヅキが気にせず腰を下ろす。

 その横にフォルトゥナが腰掛け、夕食を手早く済ませる。

 日が沈む前に夕食を終えると、四人は片付けを済ませて今後の予定について軽く話し合った。

 食料については、前日に十分補充できた上に、この森で苦いがそのまま食べられる木の実を見つけて確保しておいたので、四人分の食料は当面問題はなかった。水については言うに及ばす。

 ウィンディーネは生命力を食べているので、飲食を一切必要としていない。出来ない訳ではないらしいが、もう長いこと人間がするような食事をしていないらしかった。そして興味もないらしい。

 現状何の問題もないので、話し合いといってもそんなに深刻なものではない。ほとんどがそういった現状確認のようなものだ。

 その話し合いも終え、エイン達は寝る準備を始める。程なくして、木の幹に背を預けて眠りについた。

 今日の見張りはフォルトゥナだが、ヒヅキは別に眠くもないので起きている。というよりも、現在のウィンディーネを警戒して、寝る事など到底出来そうもない。

 ヒヅキを殺す為に力を得たという、なんとも判断しづらい答えをしていたとはいえ、それは直ぐにではない。それはヒヅキも分かっているのだが、現在のウィンディーネが発している薄気味悪い雰囲気は、警戒するなという方が無理な相談であろう。

 それほどまでに不気味な雰囲気を発しているというのに、ウィンディーネ自身は普段と変わらない飄々としたような態度でヒヅキの傍に寄ってくるものだから、ヒヅキはとしては終始休まる時間が無かったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ