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再会119

 魔力水を飲みながらのんびりしていると、夕食の時間になる。

 呼びに来た侍女の案内で食堂に移動すると、先に居たシロッカスとアイリスに挨拶をして、ヒヅキ達は侍女が引いた椅子に腰掛けた。

 ヒヅキ達が椅子に腰掛けて直ぐに、エイン達も食堂にやって来た。食堂にやってきたエイン達は、アイリスの横の席に並んで座る。

 ただの家族団らんの食卓なので、席次というモノが決まっているほど畏まった席ではないが、それでも一応シロッカスが上座に座っている。だが、他には特に意味は無い。

 それでも、呼ばれた順番や案内された場所などを鑑みれば、以前よりはエインの扱いは一般市民に近くなっているのだろう。それに、プリスもエインの隣に大人しく腰掛けたところからもそれが窺えた。

 そんなどうでもいい事を、ヒヅキはふと思いはしたが、夕食が並べられた頃にはすっかり忘れていた。

 全員で食前の祈りを捧げて、夕食を摂る。

 本来なかった時間ながらも、ヒヅキは諦めて食事に集中する。とはいえ、話を振られるので、それで会話に参加しながらではあったが。

 そんなヒヅキの隣で、相変わらずフォルトゥナは我関せずとしていたものの、それはプリスも同じであった。

 エインが増えた分、賑やかになった夕食は終わり、ヒヅキとフォルトゥナは部屋に戻っていた。

「はぁ」

 椅子に腰掛けたヒヅキは、魔力水を片手に息をつく。

『お疲れ様です』

 そんなヒヅキへと、労わるように声を掛けるフォルトゥナ。

『いや、疲れてはいないが、何だか気が抜けてね』

 ヒヅキはフォルトゥナの方に顔を向けて力なく笑うも、直ぐに眉を動かす。

『お客さんかな?』

『進行方向から推察しますと、間違いないかと』

『だよね。はぁ』

 ヒヅキはこちらに向かってきている一団の存在に、疲れた息を吐き出した。

 二人が感知している一団は、エインとプリス、それに二人を案内している侍女。

 エイン達が用意された部屋は、ヒヅキ達の部屋とはやや離れた位置にあり、そこからヒヅキ達の部屋の在る方角には、階段ぐらいしかない。

 しかし、エイン達の部屋からほど近い場所にも階段はあるので、わざわざヒヅキ達の部屋の先に在る階段を使う必要はない。つまりは、目的はヒヅキ達の部屋であると容易に推測出来た。

 程なくして予想通りにエイン達は部屋の前で立ち止まると、扉が叩かれた。

 それにヒヅキが応対すると、直ぐにエインが名乗ったので、扉を開く。

 ヒヅキが扉を開くと、侍女は一礼して去る。

 その背を少し確認すると、ヒヅキは諦めてエイン達を部屋の中に招いた。

「いやー、突然すまないね!」

 そう言いながら、エインは椅子に腰掛ける。プリスは何も言わずにその後ろに立つ。

「それで、何用ですか?」

 面倒という感情を奥に仕舞いこみ、ヒヅキは笑みを浮かべてエインに対応する。

「なに、明日からの予定について少し聞いておきたくてな」

 エインのその言葉にヒヅキは少し考え、密出国の事を話しておかないといけないなと思い出す。

「ああ、出発は朝食の後辺りを考えておりますが、その前に、実は私達は今回密入国をしまして」

「ふむ?」

 昨日の夕食について語るかのような軽い調子でヒヅキから告げられた話に、エインは少し眉根を寄せる。しかし、それは危険な感じではなく、呆れているといった感じ。

「明日は私達は密出国しますので、ガーデンを出る際は別行動でお願いします」

「まぁ、それはいいが。それにしても、相変わらずだな君は」

「相変わらずですか?」

「ああ。まぁ、今更その程度で驚かんし、問い詰めようとも思わんよ。それに、君の密入国なぞ今更だしな」

 肩を竦めるエインを眺め、ヒヅキはまぁそれもそうかと思いつつも、エインが自分をどう認識しているのだろうかと少し気になったのだった。

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