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再会113

 結局、解毒魔法を修得出来ずに魔法講義が終わった翌日。

 朝の支度を済ませてから朝食を終えると、フォルトゥナとアイリスは場所を移して早速魔法の講義を始める。

 その間、ヒヅキは魔力水の準備をしていく。

 昨夜ヒヅキがアイリスに進捗状況について尋ねたところ、大分進んでいるようで、あと少し時間があれば修得出来るところだったらしく、おそらく午前中で修得出来るだろうという話であった。

 その後は修得した3つの魔法を復習して、魔法講義は終わるらしい。

 ただ、フォルトゥナの予定では、エインが2日後に来るので、翌日は午前中に魔法講義を終わらせて、午後にはガーデンを発つというモノだったらしいのだが、流石にここまでくれば置いていくという訳にもいかないとヒヅキが反対して、魔法講義を終えた翌日に余裕をもってガーデンを発つ事に決まった。ただし、遅いようならエイン達を置いていくとフォルトゥナと約束した。

 なので少しは余裕があるのだが、フォルトゥナは変わらず急ぎでアイリスに解毒魔法を教え込んだ。そのおかげで午前中にはアイリスは解毒魔法まで修めたが、午後も講義は続く。

 昼食を終えて魔法講義を再開させると、フォルトゥナはまずアイリスの魔力操作の習熟具合から確認していく。

 それを終えると、次は水を創造する魔法から確認する。

 水を創造する魔法を終えると、次は治癒魔法。最後に修得したての解毒魔法まで復習を終えた。

 全体的に満足の行く出来だったらしく、3つの魔法の習熟具合の確認を終えたフォルトゥナは、ひとつ頷いただけ。

 細かな指導はしていたが、それは微調整の意味合いが強く、助言であってもアイリスの魔法に対する批判ではなかった。

 それを終えて一息吐いたところで、侍女が夕食に呼びに来る。

 ヒヅキ達は食堂に場所を移して夕食を摂ると、その後の講義は行わずに部屋に戻る事にした。しかしその前に、ヒヅキはシロッカスに明日の午後にはガーデンを発つ予定である旨を伝えておく。

 急な話ではあったが、それを受けてシロッカスは少し考えるように黙ると、了承したとばかりに一度大きく頷いた。

 その後は明日の予定を簡単に打ち合わせた後、ヒヅキはフォルトゥナと共に食堂を後にする。

『お疲れ、フォルトゥナ』

 部屋に戻ると、ヒヅキは椅子に座って落ち着いたところで、フォルトゥナに労いの言葉を掛けた。

 実際短期間で魔法を3つもアイリスに教えたのだ、労いの言葉だけでは到底足りない成果だろう。しかし、その相手がフォルトゥナであれば、ヒヅキの労いだけで事足りるようで。

『勿体ないお言葉です! それに、予定していた期間よりも長く掛かってしまい、結果として余計なものがくっ付いてくる事になり……』

 喜んだのも束の間、直ぐに悔やむように言葉を返すフォルトゥナ。

 それにヒヅキは困ったような笑みを浮かべた後、隣で力なく項垂れているフォルトゥナの頭を優しく撫でる。

『まぁ、エインさん達の事は私が交わした約束が原因だから、フォルトゥナが気に病む必要はないよ。それに、最初の予定は最短だとこれぐらいという話だったでしょう? 人にものを教えるのは難しいうえに、人間に魔法を教えるのは初めてという話だったし、少しぐらいしょうがないよ。いや、むしろこの程度で終わったのが凄いよ』

 ヒヅキは魔法について誰かに教えられるほどの知識は無い。なので、それが出来るというだけでも凄いと思うのに、魔法に関しては、特に初歩的な魔法に関しては労せず修得できる種族であるエルフが、魔法の適性に乏しい人間に初歩的な魔法を教えるという苦労は如何ほどのものか。それを思えば、ヒヅキはたかが数日のずれなど誤差とも思わなかった。

 そういう訳で、ヒヅキはフォルトゥナを慰めるのだが、如何せんそういった事には慣れていないので、どうすればいいのか手探りではあったが。

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