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再会110

 本気でそう思っているのが判ったものの、ヒヅキはそれよりも、そんな現状でも機能しているエインの情報網に興味が湧いていた。とはいえ、それを知ったところで何をしようというものでもないのだが。

「そういう訳で、どこもかしこもスキア相手に四苦八苦しているのさ。平和なのはこの国だけではないかと思えてくるほどにね。そのせいか、国境付近では時折スキアが姿を現すのだ。もっとも、国境付近までは来ても、そのままこちらへ攻め込むわけでもなく戻っていくようだが」

 よく分からんとでもいうような顔をするエインに、ヒヅキは前に考えた事を思い出す。

(やはり、1度スキアを退けたカーディニア王国は後回しという事か?)

 倒せるところから戦力を集中させて倒していく。本当にそうしているかのようで、ヒヅキは面倒だと思い僅かに視線を外すと、そっと息を吐いた。

「先程も言ったが、その事はほとんど知られてはいない。広めたところで不安を煽る結果にしかならないからな。国境を越えての調査も少数で行わせているのだが、結果は芳しくない。中には戻らない者も居るぐらいだから、国境の先は魔境と化している可能性も在る」

「なるほど。エルフの国でも、そこら中にスキアが跋扈していましたから、他国もそうなっているのでしょう」

「……そんな状況の国に長居して、更には無事に返ってくるのだから、君は相変わらずだな」

 ヒヅキの説明に、エインは苦笑にも引き攣らせている様にも見える笑みを僅かに浮かべて、呆れたようにそう告げる。

「スキアは私には興味が無かったようですし、滞在していた町にスキアは襲ってこなかったので、そこまで大袈裟な事ではないですよ」

 そんなエインの様子に、ヒヅキは困った様な笑みを見せながら、当時の状況を説明する。嘘ではないが、神の依頼でスキア狩りをした事までは語る必要はないだろう。

「まぁいいさ。とにかくそういう訳で、現在のカーディニア王国はスキアの脅威に晒されてはいるも、直接的なモノではない。ああ、ソヴァルシオンに関しては直接的ではあるのだが、襲撃があっても一二体なので気にしないでくれ………………私の感覚も大分おかしくなってきているな」

 スキアは一体でも小国を亡ぼせると言われているほどの脅威だ。歩く災害とも表現される事があるほど恐ろしい存在。

 そんな脅威に抗おうと思えば、魔法装備で身を固めた冒険者十名前後は最低でも用意はしたい。それか冒険者でも指折りの実力者に頼むか。

 それでも失敗する事も珍しくはない。単独でスキアと戦えるような実力のある冒険者だって、世界中を探しても両の手で足りるほどの数しか居ないのが現実。

 そんな一体でも国が亡ぶかもしれない脅威であるスキアが、たまに単体もしくは数体で襲撃を仕掛けてくるというのは、絶望してもおかしくないほどに悪夢のような出来事のはずなのだが、それを大した事ではないといった風に語った自分に気がつき、エインは頭に手を置いて苦い表情を浮かべる。

 しかし、それも致し方のない事。少し前のスキアの襲撃以来、スキアの情報は単体ではなく群れで目撃されるか、数体で目撃されるばかり。特に少し前までカーディニア王国をスキアが襲撃していた時など、常に群れの情報ばかりが齎されていたのだから、感覚も鈍ろうというもの。

 それに、エイン自身がスキアの群れを直接見て、戦ってもいたからか、より鮮明にその印象が刻まれており、スキアが群れで行動するのが当たり前になりつつあった。

 それでも、少数のスキアを軽視しかねないその感覚をエインは危険と判断して、己に認識の改善を戒める。

「……訂正するが、カーディニア王国は現在ソヴァルシオンのみが直接的なスキアの脅威に晒されているも、その他は国境付近で見かける程度の脅威でしかない。まぁそれでも十分脅威なのだが、今のところソヴァルシオン以外は安全と言えば安全だ。そのスキアも、北以外の国境では目撃情報が乏しいからな」

「北以外では、ですか」

「ああ。だからこそ、ソヴァルシオンを襲っているスキアが何処から来ているのか気になるのだが、スキアの行動を監視など出来ないからな」

 そこで言葉を切ると、疲れた顔をしながら、エインは何かを考えるようにヒヅキを見つめた。

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