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再会105

 翌日からも予定通りに、1日中魔法講義が行われる。

 相変わらずヒヅキは魔力水を注ぐのが仕事になっていたが、それに文句はない。魔法の講義が傍聴出来るのだから十分過ぎる報酬だ。

 講義の内容も魔法の習得について集中しているので、魔法というモノを知る手掛かりになる。

 その講義の休憩は昼食時のみ。だったのだが、今回からは夕食後にも少し講義が行われるので、夕食時も休憩時間になった。

 そうして講義の時間を拡張して、集中的に魔法の習得を行っていく。

 アイリスは魔法講義が楽しいようで、講義時間が拡張された事を喜び、連日の講義でも楽しそうにしている。

 それでいて、人間にしては魔法的な才能が在るアイリスは、フォルトゥナの講義に良く応えた。

 まず水を現出させる魔法だが、フォルトゥナが予定していた通りに修得してみせた。

 次に治癒魔法だが、最初は理解が中々出来ずに1日消費してしまったが、2日目からは理解が出来たようで、一気に魔法の修得速度が上がっていく。

 その速度は驚くほど早く、フォルトゥナが見抜いた通りにアイリスには治癒魔法に適性があったのだろう事が窺えた。

 2日目はそうして急成長して終わったが、修得までには至らなかった。

 そして予定外の3日目は、前半こそ魔法修得の指導であったが、後半は復習とでも言えばいいのか、確かめるような丁寧な工程で幾度も魔法を構築していく。

 結局、治癒魔法はフォルトゥナが予定していた通りにはいかず、1日多い3日掛かって終わった。

 その事をフォルトゥナはヒヅキに謝罪したが、ヒヅキは気にしていないといった感じを心がけながら、問題ない事をフォルトゥナに告げた。実際、修得速度は速く、気にするほどの遅れでもない。

 そんな事があった翌日。最後の解毒魔法の修得の講義が行われる。

 アイリスは治癒魔法には僅かでも適性があったが、解毒魔法に関してはそういったものは特にない。なので、フォルトゥナは治癒魔法の時を教訓に、事前に1日から2日は日程が延びる可能性が在る事をヒヅキに伝えていた。

 その解毒魔法だが、やはり難しいのか、アイリスは治癒魔法の時以上に理解するのに苦戦していく。

 そのまま初日は丸々理解するのに時間を使用した。それでも1日では足りなかったようだが。

 2日目も解毒魔法の理解の時間に宛がわれていく。しかし、思うように飲み込めないのか、はたまた解毒魔法に適性が無いのか、あまり馴染まない印象を受ける。

 それでも2日目の終わりごろには、フォルトゥナの補助在りながらも何とか形になった。

 3日目は前日に引き続き、魔法を行使していく。

 今回は馴染ませるのが目的なのか、魔法を行使するというよりも、工程をなぞっていくといった感じの講義ばかり。そして、そのまま3日目は過ぎていった。

 4日目。全体で見れば当初の予定よりも長くなってきたが、これは治癒魔法の時に分かっていた事。解毒魔法のみで考えればまだ予定通り。

 それでもフォルトゥナにとっては失態なのか、ヒヅキはフォルトゥナが焦っているのを感じて、途中でそれを窘めた。

 そんな事があった日の午後。ヒヅキへと訪問者があった。

 フォルトゥナは引き続きアイリスへと魔法講義を行い、その間にヒヅキは水瓶をフォルトゥナに託してから、シロッカスが用意してくれた応接室で訪問者と会う。

 訪問者はプリスの使いであった。相手は最後のプリス邸訪問の際にプリスへの手紙を託したあの女性。

 最初に軽く挨拶と言葉を交わした後、本題に入る。といっても、ヒヅキに倣ったのかプリスも手紙を用意したようで、それを女性から手渡される。

 ヒヅキは女性に一言断ってから、その場で手紙に目を通していく。

 内容は、まずは時候の挨拶や幾度も訪問したのに留守だった事に対する謝罪などの言葉が並んでいく。その後に家を空けていた理由も書かれていたが、正直ヒヅキには関係ないし興味もない内容であった。

 それでも、小さな綺麗な文字でびっしりと書かれたそれだけで紙が3枚ちょっと埋まっている。途中から愚痴っぽくなっていたのは見なかった事にした方がいいのだろうかと、ヒヅキは少し悩んだほど。

(というよりも、この手紙はプリスさんが書いた物ではないな)

 手紙を読んでいた途中で、ヒヅキはそう思う。最初の方は確かにプリスが書いていたようだが、途中から書き手が変わっていたのが窺えた。

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