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再会99

 魔力水はかなり即効性があるようで、魔力水を飲み干したアイリスの顔色はたちどころに良くなる。

 あまりに直ぐ良くなったので、効果が分かりやすかったぐらい。

 顔色が良くなったアイリスが、昼食に呼びに来た侍女に応対した後、ヒヅキ達三人は侍女の案内で食堂まで移動した。

 今日は家に居たシロッカスと挨拶を行うと、三人は侍女が引いた椅子に腰掛ける。

 すぐさま並べられた昼食を前に、四人は食前の祈りを捧げて手を付けていく。

 それから会話をしながら昼食を終えると、ヒヅキとフォルトゥナはシロッカス邸を出て、プリス邸を目指していく。

 ガーデンの街は以前ほどではないにしろ活気がある。だがこれも、本格的な冬が来た時には大人しくなるだろう。

 そう思ったところで、ヒヅキは現在の復興状況はどれぐらいだろうかと考える。その復興状況次第では、冬の間はガーデンの人口が増えることだろう。

 もっとも、ヒヅキはそこまでガーデンに長居するつもりもないのだが、それでもふとそんな考えが頭に浮かんだ。

 とはいえ、復興状況をヒヅキが知る術はない。有力者にでも話を訊けば別だが、ヒヅキの知り合いで知ってそうな相手はシロッカスとシラユリぐらいだが、わざわざ訊くほどの事でもない。もしも居ればプリスとエインもだが、ただの興味でしかないので、知らないのであれば、それはそれで構わない。まだ暑さが残っているので、冬が来るのか疑わしく思うが。

 周囲のすれ違う人達も、まだ薄着の者も多い。そんな中に在って、頭から全身を覆ってい露出の少ないフォルトゥナの服装は、やや浮いていた。

 それでもまぁ、街を歩けば全身を隠して顔さえ確認出来ない者も少しは見かけるので、別段珍しいというほどではない。中には兵士でもないのに全身鎧に身を包んでいる者も居たりするので、まだまともな部類だろう。もっとも、そういった輩は大抵が冒険者だが。

 以前のガーデンの住民は洗練された服装をしていたものだったが、現在はその数は随分と減り、見るからに浮浪者といった者から泥だらけの服を着ている者などが増えていた。

 それに伴い治安も悪化したが、それを取り締まる側の兵士の数が減少したのも影響しているだろう。

 移住者の多くを兵士として登用したらしいが、教育や訓練もあるので、育つにはまだ少し時間を要するようだ。人を育てるのは大変だという事か。 

 それに加えて、今は流入してくる人の数の方が多いらしい。復興や食糧生産に相当数回しているというが、こちらも成果が出るのは時間が掛かる。幸い、食糧生産の方は結果が出てきているようだが。

 兵士の方ももうじき教育が完了する頃合いだろう。そうなれば、治安が今よりぐっと良くなる事は確実。

 復興の方はまだまだ時間を要するだろうが、詳しい事をヒヅキは知らない。

(しかしどれも、ガーデンにスキアが襲撃して来ないのが前提だがな)

 ソヴァルシオンの様に、神の気まぐれで再度襲われる可能性は在る。いや、ヒヅキの読みでは確実に在るだろう。ただ、その時期や規模についてまでは流石に分からないが。

(ま、カーディニア王国に止めを刺そうとはするだろうな。俺が離れてからならいくらでもすればいいと思うが……今は多分大丈夫だろう)

 何故だか分からないが、ヒヅキはそんな妙な確信を抱く。神がカーディニア王国を亡ぼそうとするのは、まだ先の話だろう。

 そんな事を考えながらガーデンの街中を進むと、目的の区画に到着した。

 門番に顔見知りの男の姿を確認したヒヅキは、軽く頭を下げて挨拶だけしておく。もしも今回もプリス達が居なかった場合、帰りに軽く会話をする予定なのだから。

「………………」

 そう思いはしたが、来たことが判ればいいので、顔見知りと挨拶をしただけでも十分のような気もしてくる。

(いや、念には念を入れておく方がいいか)

 しかし、ヒヅキはそう思い直すと、小さく首を振って区画内に入っていった。

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