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再会97

 そうしてフォルトゥナと会話をしている内に随分と時間が経過したようで、外が大分明るくなってきた。

 朝食の準備も済んだようで、部屋に近づいてくる侍女の気配も察知している。

『さて、そろそろ朝食か』

 ヒヅキは立ち上がり伸びをすると、開けていた窓を閉めて扉の方に目を向けた。

 そこで扉が静かに叩かれ、それに応える。

 扉に近づき開けると、そこには侍女の姿。今日の侍女は、先日ヒヅキが一瞬プリスと間違えた女性であった。

 その侍女の案内で、ヒヅキとフォルトゥナは食堂に移動していく。

 移動中、ヒヅキは前を歩く侍女を改めて観察してみるも、どうもプリスには似ていない。

 確かに見た目は似ている。背丈も同じぐらいだし、髪の感じも近い。顔だって似ているのだが、それで間違えるかと問われれば、間違えないと答えるだろう。

 見た目は似ているのだが、別人だと判るぐらいには纏う雰囲気が違う。それは端々に感じる優しさというか柔らかさのせいだろうが、とにかく違うのだ。

 だからこそ、ヒヅキは何故あの時一瞬とはいえ勘違いしたのだろうかと、改めて不思議に思う。

 かといって、それを本人に尋ねたところで、それこそ何を言っているんだコイツと思われるだけだろう。

 そんな不審者の様な事をわざわざ進んでやる理由も無いので、ヒヅキはその疑問を頭から追い出す。

 食堂に到着すると、先に来ていたシロッカス達と挨拶を交わして、ヒヅキ達は侍女に引かれた席に着く。

 直ぐに朝食が目の前に並べられて、食前の祈りが捧げられる。相変わらずヒヅキは自然に対しての感謝程度だが。

 食前の祈りを終えると、四人は朝食に手を付けていく。

 本日の朝食は、パンと汁物。それに炒めた肉にゆで卵や果実などを野菜と一緒に混ぜ合わせた物と、小振りの魚を焼いた物。

 飲み物は、果実酒がシロッカス達の前に置かれているが、ヒヅキはいつも通りに炭酸水。フォルトゥナもそれに倣って炭酸水に変えてもらっていた。

 そんな豪勢な料理を食した後、ヒヅキとフォルトゥナ、アイリスの三人は場所を移して魔法の講義を始める。

 今日は午後からプリスの家に赴く予定であるので、講義は午前中のみ。しかし翌日からは1日掛けて魔法の講義を行う予定であったので、魔法講義を始める前に、フォルトゥナがそれをアイリスに予告しておく。

 その際に、魔力水についても触れて、今回の講義から使っていく旨を付け加えた。

 それを聞いたアイリスが目を煌かせて非常に喜んだ後、早速講義が始まる。

 ヒヅキはその間に魔力水の準備を行う。といっても、水瓶から容器に水を注ぐだけだが。

 容器は講義を行う部屋に備え付けられている容器を使用する。それはアイリス達が魔法講義に使うようになってから部屋に置かれるようになったもの。講義に使用している部屋は元々物置部屋だったので、そういった物は置かれていなかった。

 物置といっても、現在は置かれている物が少ない。主に生活用品が保管されていたのだが、復興などに必要とシロッカスが提供したのだった。シロッカスの評価は元々高かったらしいが、その影響で更に上がったという。

 そんな寂しい物置だが、侍女達が掃除だけは毎日欠かさず行っていたので、最初から綺麗であった。

 魔力水の用意を終えたヒヅキは、二人の魔法講義を眺める。

 以前よりもアイリスは魔力の扱いが巧くなったようで、魔力放出までは滞りなく行っている。そのあと魔法へと昇華させるのにやや手間取っているようだが、ヒヅキが感じた限りでは、数日中にはフォルトゥナの補助無しで魔法の構築が可能になるだろう。もしかしたら、それは明日かもしれないと、ヒヅキは密かに思ったりもするほど。

 そう思いつつ眺めていると、講義が始まってそんなに経っていない段階でアイリスの魔力が枯渇寸前になり、顔色が悪くなった。

 すぐさまヒヅキが魔力水が注がれた容器をアイリスに勧めると、弱弱しく礼を言いながら目の前に置かれていた容器を持ち上げ、アイリスがゆっくりと魔力水を飲んでいく。

 そうしてアイリスが魔力水を飲んでいく度に顔色が戻っていき、飲み終えたところですっかり元通りになる。

 ヒヅキは魔力水を注ぐためにアイリスから空の容器を受け取りながら、魔力水の効果を実感したのだった。

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