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再会89

『中々会えませんね』

 ヒヅキが区間入り口の門番と少し言葉を交わした後にガーデンの街中を進んでいると、フードを目深に被って少し後ろを歩いているフォルトゥナが話しかけてくる。

『まぁ、忙しい相手だからね。そうそう会えるものでもないさ』

『ヒヅキ様がわざわざ訪ねられているいうのに、不敬な輩ですね!』

『はは。私はそんな大層なものではないよ』

 話が微妙に噛み合っていない気がしたヒヅキは、そう言って小さく息を吐いた。

『そんな事は御座いません!』

 しかし、そんな事は気にしないフォルトゥナは、鼻息荒くそう断言する。

 そんなフォルトゥナにどう返せばいいのか分からなくなったヒヅキは、こめかみ辺りを人差し指で撫でると、ため息を吐く。

『まぁ…………そうだね。でもまぁ、相手にも都合が在るから。それに、この前言った気がするけれど、私的には居ない方がいいんだよ』

『むぅ。それはお聞きしましたけれど……それでも納得できません!』

『うーむ。これもまぁ、もう少しで終わるから。後1回……いや、2回不在だったらもう訪ねないから。後はアイリスさんが魔法を覚えてくれればガーデンも出るよ』

『………………分かりました』

 フォルトゥナは納得していないようだったが、それでも聞き分けたようだ。

『ありがとう』

 ヒヅキはフォルトゥナの方へ向くと、小さく笑い、フードの上から軽く頭を撫でる。

 もうシロッカス邸も目前なので周囲には人の気配はないものの、それでもフードは被ったままにしておく。

 フォルトゥナの頭をひと撫でした後、前を向いて歩いていく。それから直ぐにシロッカス邸に到着した。

 シロッカス邸の中に入り部屋に戻ると、荷物を下ろして椅子に腰掛ける。

 背嚢を脱いで隣に座ったフォルトゥナへと目を向けたヒヅキは、少し考えてから手を伸ばすと、フォルトゥナの髪質を確かめるように頭を撫でていく。

 上質な絹のような髪は抵抗を感じさせずに手が滑るように流れていく。そんな上質な手触りに、いつまで触っていても飽きないほど。

 フォルトゥナもヒヅキに撫でられて幸せそうに目を細めて受け入れている。

 二人はいつもより早く戻ってきたのでしばらくそうして時間を過ごすと、侍女が近づいてくるのを感知して、ヒヅキはフォルトゥナの頭から手を離した。

 それに残念そうな表情を浮かべるフォルトゥナ。そこに扉を叩く音が響き、やってきた侍女と共に二人は食堂に移動する。

 食堂でシロッカスとアイリスに挨拶をしてから並べられた夕食を食すと、その後も少し話をしてから部屋に戻った。

 部屋に戻ると、風呂の用意だけ済ませて椅子に腰掛ける。この辺りもいつも通りだ。

 ヒヅキの隣に腰掛けたフォルトゥナが何かを期待するような眼差しをヒヅキに向けるが、それに気づきながら、ヒヅキは反対側の窓の方へと目を向ける。

 隣から視線を感じながらヒヅキは時を過ごすと、風呂の用意が出来た事を告げに来た侍女を感知して立ち上がった。

 窓は開けていなかったのでそのままゆっくり扉の方へと近づくと、侍女が扉を叩いたところで直ぐに扉を開ける。

 ヒヅキが扉を開けると、侍女は一瞬驚いた表情を浮かべたものの、直ぐにすまし顔で風呂の用意が出来た事を告げる。

 そのままヒヅキとフォルトゥナは着替えを手に風呂場へと移動した。





 翌日もいつも通りに少し早くに目を覚ましたヒヅキは、周囲を感知して時間が来るのを待つ。

 外が少し明るくなったところでフォルトゥナを起こし、朝の支度を済ませて朝食までの時を過ごす。

 朝食の用意が整うと、侍女に案内されて食堂に移動して、シロッカス達と挨拶を交わす。

 その後、朝食を済ませて場所を移すと、フォルトゥナによるアイリスへの魔法講義を昼まで行う。

 講義を終えて昼食も済ませると、外に出てヒヅキとフォルトゥナの二人はプリス邸を目指してガーデンの街中を進んでいく。

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