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再会77

 部屋の中に入ったアイリスは、中に居たフォルトゥナにも挨拶をする。

 それに一瞥しただけで何の反応も返さないフォルトゥナ。

 そんなフォルトゥナへと、ヒヅキが挨拶を返すように目線を送ると、意図が伝わったようでフォルトゥナは頷きアイリスへと挨拶を返した。

 挨拶を終えると、ヒヅキが部屋に用意されている机を囲むように椅子を動かすと、それぞれ椅子に腰掛けた。

 そこで改めてアイリスがヒヅキとフォルトゥナの無事を安堵する。

 その後で、二人が旅に出ている間の話を簡単にすると、魔法の練習の成果をフォルトゥナに披露した。

 アイリスの魔力操作はヒヅキ達がガーデンを空けている間に随分と上達したようで、ヒヅキの目には駆け出しから見習い魔法使い程度には育っているように思えた。

 フォルトゥナも同じように感じたのか、小さく頷くと空間からショッリの森で作った魔法道具を取り出して、それをアイリスに差し出す。

「これは?」

 差し出された3本の木の棒を纏めただけに見える魔法道具へと目を向けたアイリスは、フォルトゥナの方へと視線を戻して問い掛ける。

「魔法道具」

「これがですか!?」

 アイリスの質問に、端的に答えるフォルトゥナ。その簡潔な答えに、アイリスは驚愕して視線を魔法道具に落とす。

「魔法道具だけれど、実用的なモノではない。魔力を放出して、魔法道具の周囲に小規模な流れを作り出すだけ」

「はぁ。流れ、ですか?」

 フォルトゥナの魔法道具の説明に、アイリスはよく分からないといった風に首を傾げた。

 しかしフォルトゥナにはそれ以上説明する気がないようで、早く受け取れとばかりに魔法道具を持つ手を揺する。

 そんな様子を見て、ヒヅキはアイリスの疑問がよく理解出来たので、フォルトゥナに代わり説明を行う。

「それは棒の各先端から魔力を放出することによって、周囲に流れを、空間であれば気流を液体の中では水流を生み出します。しかしその流れは小規模である為に、多少魔法道具の周囲をかき乱す程度。そうですね、自分の飲み物を混ぜるのには使えるでしょう」

「なるほど。そうだったのですね!」

 ヒヅキの説明に頷いたアイリスは、魔法道具を見た後、遠慮がちにフォルトゥナへと問い掛ける。

「これは、頂いても宜しいのでしょうか?」

 アイリスの問いにフォルトゥナが頷くと、アイリスは緊張しながらも丁寧にフォルトゥナの手から魔法道具を受け取った。

「それで魔力配分を覚えるといい」

「ありがとうございます!」

 宝物のように魔法道具を握りしめて、アイリスは感激した声を出す。

「魔力操作も形になったようだから、次からは簡単な魔法を教える」

「!! はい! 分かりました!!」

 魔法道具をアイリスに渡すと、フォルトゥナは今後の予定について言及する。それを聞いたアイリスは目を輝かせると、元気よく頷いた。

 それだけ告げると、フォルトゥナはもう用は無いとばかりに沈黙する。

「これで私も念願の魔法道具を持てた訳ですね! 更には魔法まで! とても楽しみです!!」

 夢でも見ている様に浮かれた声を出すアイリス。それをヒヅキは微笑ましげに見守るも、フォルトゥナは興味ないようで目を瞑っている。

 少しして戻ってきたアイリスは、ヒヅキの視線に気づき、恥ずかしげに顔を俯かせた。

 そこで扉が叩かれ、侍女が風呂の用意が整った旨を伝えてくる。

 ヒヅキがそれに応じて礼を言うと、アイリスは丁度区切りと席を立つ。

「ヒヅキさんとアルコさん。どうぞごゆっくり旅の疲れを癒してください」

 軽く一礼すると、アイリスは恥ずかしさを誤魔化すようにそそくさと部屋を出ていった。

 それを僅かに驚きながら見送ったヒヅキは、準備していた着替えを手に部屋を出る。

 フォルトゥナも着替えを手に一緒に部屋を出ると、そこには先程風呂の用意が出来た事を告げた侍女が待機していた。

 その侍女の案内に従って、二人は風呂場へと移動していく。

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