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再会72

 ヒヅキの持つ最大火力の魔法攻撃である魔砲だが、もしもヒヅキがこれを万全の状態で全力で使用した場合、相手が密集していたと仮定して、その中央に全力の魔砲が着弾したならば、被害は軽く万を超える。

 しかし、それは同時にヒヅキが一発で行動不能になるということだが、それ以前にあまりにも被害の範囲が広すぎて術者本人もその被害から逃れられないので、実質自滅攻撃である。なので、実際にはそれは行使不可能な攻撃ではあるも、制御しても威力が絶大なのは変わらない。

 仮にヒヅキとフォルトゥナが一対一で戦った場合、ヒヅキがその広大な範囲に及ぶ凶悪な攻撃をフォルトゥナ目掛けて行使した場合に限り、ヒヅキは確実にフォルトゥナを仕留めることが出来る。だが、先に述べた通り自滅攻撃なので、互いに死ぬことだろう。範囲を絞ればまだ可能性が在るも、フォルトゥナは身体能力もヒヅキよりも優れているので、その場合は攻撃範囲外に逃げ切れる可能性も否定できない。

 では中・近距離ではどうかといえば、こちらはヒヅキにはほぼ確実に勝ち目が無い。

 フォルトゥナの消滅魔法は視認できる範囲という制限が在るのだが、たとえ障害物があろうとも、ヒヅキが死なずに勝利を収めることはかなり難しい。

 そもそもの話、二人にはあまりにも明確な実力差がある。それをヒヅキはフォルトゥナの逸話を聞いていた段階で理解していたが、一緒に旅をするようになって、それは確信に変わっていた。だからこそ、利用価値の高い人物ではあっても、ヒヅキは常に思うところが在った。それはフォルトゥナの現状と相まって、ヒヅキは警戒感の他にも、珍しく心苦しさや多少の劣等感も抱いていたから。

 最初はフォルトゥナがほぼ単独でスキア相手に首都を1年以上護り抜いているという話だった。

 もしもヒヅキが同じ立場にあった場合、あの広い首都を毎日のように攻めてくるスキアから護り抜けるのは、数ヵ月が限度。それどころか一月でさえも苦労するだろう。

 だというのに、フォルトゥナは最初、首都どころか国そのものを回って護っていたというのだから、体力面でもヒヅキを上回っている事になる。

 才能・体力・技術・瞬発力・能力と、軽く上げただけでも全てヒヅキ以上の性能を持つフォルトゥナ。そんな相手にヒヅキが唯一勝っているのは、魔力操作の巧みさぐらい。

『まぁこちらに来ないのであれば、放っておいても問題ないだろう』

『畏まりました』

 フォルトゥナに返事をしながら、ヒヅキは左腕に目を向ける。そこには肘から先に取りつけられている義手が在った。

 その義手はかなり高度な魔法道具であり、本物の腕同様に常に魔力を循環させている。しかしその循環を制御しているのはヒヅキ自身であり、手を動かす際には更に細かな魔力操作が要求される。

 そんな状況で在るから、ヒヅキはわざわざ訓練などしなくとも、常時魔力操作の訓練をしている様なものであった。おかげで日に日に魔力操作の技術が上がっているので、光の魔法の扱いにも更に習熟していた。

 だというのに、半歩後ろを付いてくるフォルトゥナは、ヒヅキのずっと先を行く。

 戦った場合に勝利の目がない訳ではないが、敗ける可能性の方が遥かに高い。正しく英雄。ヒヅキがフォルトゥナの事で心を騒めかせるのは、もしかしたらその辺りが関係しているのかもしれない。

 それとは別に、索敵についてもヒヅキはウィンディーネに指摘された事を考えてはいるのだが、未だに答えは出ていない。

 何もかもが遅れているような感覚を抱き、ヒヅキは本当に僅かではあるが、焦っていた。しかしその答えの求め方は分からない。分かるのであれば、ヒヅキなら既に答えを出している。

 静寂なる森の中を進みながら、ヒヅキはやはり今のままでは駄目だと思い、索敵の方法について考えていく。

「………………」

 周囲を撫でるように探っていく。それはウィンディーネからの教えではあったが、それに自分なりの解釈を加えて答えを求める。

 魔力を薄く拡げるように展開しつつ、まずは近くに何が在るのかから把握するように努めていく。それが上手くいけば、それを拡大させていけばいいのだから。

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