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再会69

(しかしそれも当然か?)

 神が生命力を奪うのは、生き物が呼吸するのと同じ事。それも基本的には大量には必要ないのだから、教えられない限りは表に出る事はない。

 もしくは生命力が視える者か、奪われるのが分かるような敏感な者でも居たならば別だが、それでも仮にも神。そんなヘマをするとは思えなかった。

『まぁ、神にとっては呼吸のようなものだからね』

『そうなのですか』

『らしいよ。だからまぁ、しょうがない。それで、生命力と共に切り出すというのは?』

 詳しく知っている訳でもないので早々に話を切り上げると、ヒヅキは話を戻して気になっていたことを問い掛ける。

『素材の生命力を1ヵ所に集めて、そこを切り取るのです』

『そんな事が出来るの?』

『はい。これは魔力を視るより特殊な才能が必要らしく、エルフでも使える者はごく限られていました』

『フォルトゥナには資質が在ったということ?』

『幸いそのようです』

『そっか。それはよかったね』

『はい! これもヒヅキ様のおかげでです!』

 これでフォルトゥナの価値は更に上がったという事になる。

『でも、それじゃあ素材の調達が難しいのはなんで? 聞く限りでは、そこらの木でも十分作れると思うけれど?』

『はい、確かに可能です。しかし、上質な生命力を宿すとなると限られてくるもので……』

『ああ、そういう事か』

 フォルトゥナの言葉に納得しながら、ヒヅキはアーイスに道具を譲ってくれた礼を改めて伝えると、フォルトゥナと共に家を辞する事にした。

 それを引き留めると、アーイス達は昼食でもと誘ってくるが、用件が済んだらさっさと村を出たいヒヅキは、それを固辞して家を出る。

『それで先程の話だけれど、その上質な生命力を宿した木は、この森にはないの?』

『今まで視てきた限りでは、これだというほどの木はありませんでした』

『そうか』

 長く話をしてしまっていた為に、アーイスの家を出た時には既に昼過ぎではあったが、村の門まで移動した時には大分日が傾いていた。

 門番に挨拶をしてから二人は門を出ると、森の中へと進んでいく。

 森の中に入って少しすると、ヒヅキは魔法道具作製に必要な道具を取り出してフォルトゥナに渡した。

『これで何か魔法道具を作れる?』

『はい。どんな魔法道具をお望みでしょうか?』

 その際にヒヅキが問うと、フォルトゥナは直ぐにそう問い返す。

『ガーデンに戻ったらアイリスさんが魔力の使い方を覚えているかもしれないから、その際に渡す何かしらの魔法道具なんてどう?』

『ヒヅキ様がそれを望まれるのであれば』

 ヒヅキの提案に、フォルトゥナはそう返す。

 それに困った表情を浮かべたヒヅキだが、フォルトゥナの腕前も見たいところだし、試しに作るには最適だろうと判断したヒヅキは、その内容でフォルトゥナに注文する事にした。

『それじゃあそれでお願い。アイリスさんに魔法を教えているのはフォルトゥナだから、彼女に最適だと思う魔法道具もフォルトゥナが選んでくれない?』

『畏まりました』

 魔法道具の存在は知っていても、ヒヅキはそこまで魔法道具に精通している訳ではない。よしんば知っていたとしても、それなりの地位に居たエルフであり職人でもあるフォルトゥナに勝てるとも思えなかったが。

 それからしばらく森の中を移動した後、休憩を取ったところでフォルトゥナは近くの枝を拾って魔法道具の作製に取り掛かった。

 その様子をヒヅキは横で見学する。

 フォルトゥナはまず、拾った枝を適度な長さに折っていく。

 そうして大体10センチメートルほどに揃えた真っすぐな枝を3本用意した。

『ヒヅキ様。申し訳ありませんが、これを纏められる紐を持っていませんでしょうか?』

 ヒヅキの方に顔を向けたフォルトゥナの問いに、ヒヅキは背嚢から1メートルほどの紐を取り出す。

『好きに切っていいから』

『ありがとうございます!』

 探してもそれ以上に短い紐が無かったので、ヒヅキはそう告げて紐を渡す。それにフォルトゥナは礼を言って丁寧に受け取った。

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