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再会54

 プリスの家で誰かに会えるにせよ会えないにせよ、訪れた後は旅に必要な物を揃える為に商店が集まっている区画に向かう。

 旅の必要品であれば、主に旅人を相手にしている大通りの店がいいのだろうが、そこは少し割高なので冷やかし以外では行く必要は無い。人通りも多いので尚の事ヒヅキは敬遠していた。

 それに比べて商人区画もしくは商業区画は、主にガーデンの住民向けの店が建ち並んでいる。そのため価格はガーデンの標準。いや、基準と言ったほうが正しいかもしれない。

 調達予定の必需品は食料なのだが、商人区画でも食べ物は売っている。それこそ新鮮な野菜から保存食まで色々と。

 ヒヅキはそこで保存食を少し買おうと考えているが、他に何か必要そうなモノが在ったら調達予定ではあった。

 そうして旅の準備を整えた翌日にはガーデンを発つつもりでいる。

(ああ、朝食の時にでもシロッカスさんに話しておかないとな)

 昨夜決めたばかりなので急な話になってしまったが、寝る場所を借りている以上、少しの間ガーデンを離れることをシロッカスに伝えなければならないと考え、戻って来ても長居しない予定も話しておいた方がいいだろうかとも考える。

(いや、こちらはそれとなく話す程度でいいか。詳しくは戻って来てからになりそうだし)

 ガーデンに長居をしないことはシロッカスも理解しているような雰囲気もあった為に、その事は問題ないだろう。ただ、心残りはやはりアイリスへの魔法講座だろうか。

(せめて魔法の1つでも修得出来ていればよかったが、流石に期間が短すぎたからな)

 そうは思うも、ヒヅキ達が名も無き村に行っている間に魔力の扱いを習熟していた場合、次への出発までの短い間に簡単な魔法の1つぐらいは修得出来ると予想している。

 そう考え、その辺りで納得して欲しいものだと結論付けた。

 そんな風にヒヅキが今後の予定を大まかに考えていると、フォルトゥナが目を覚ます。

 朝の挨拶を終えて身支度を整えると、椅子に腰掛けながら背嚢から取り出した容器に、一緒に取り出した水瓶の水を注ぎ、1つを隣に座るフォルトゥナに渡す。

(1日の制限の仕切り直しが注いだ時であれば、これが基準になるのか? ……1日前に水を注いだ正確な時間が判らないが)

 毎朝水は飲んでいるうえに、夜でも飲む事がある。基準がどこに在るか分からない以上、これが基準かもしれないし、昨日の何処かかもしれない。それについてはヒヅキは正確に把握していなかった。

 その事に困りつつも、まぁ日付が変わっても出なかったら、基準はそちらだろうと決める事にする。

 などと考えながら、背嚢からゴワゴワとして色の付いた質の悪い紙と、持ち手に布の巻かれた細長い木炭のような物を取り出す。

 机に向かい取り出した紙にエイン宛の手紙を書くと、文字が擦れて消えないように保護魔法をフォルトゥナに頼んで掛けてもらうと、木炭のような物と一緒にその手紙を背嚢に放り込む。

 訪問の用意を終えたところで、朝食の準備が整ったと侍女の誰かが呼びに来るまで待つことにする。頼みごとをしたいので、出来ればシンビが来ないだろうかと考えながら。

 ヒヅキとフォルトゥナは水を飲みながらのんびりと時間を過ごす。その間にフォルトゥナにアイリスの事を伝えた。

 それから少しすると、扉を叩く控えめな音が部屋に響く。それに応対すると、呼びに来たのはシンビではなく侍女の一人であった。

 その侍女に先導されながら、ヒヅキはこの際誰でもいいかと、侍女に空いている大甕か大鍋がないか問い掛ける。

「それでしたら、台所の外に空の大甕が在りますけれど、何に使われるのですか?」

 侍女の疑問に、ヒヅキは水を入れると説明したが、侍女は「はぁ、水ですか?」 と困惑したような声を出しただけであった。

 ありのまま説明しただけにヒヅキも返答に困るも、程なく食堂に到着した。その時に侍女が後で大甕の場所まで案内する事を約束してくれる。

 それに感謝しつつ、ヒヅキ達は先に食堂に来ていたシロッカス達と朝の挨拶を交わしたのだった。

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